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父と顔を合わせた次の日に俺はまた寮へと戻ることにした。
黒田さんに車で送ってもらいながら、父のことを思い返していた。
父に会うことはもっとストレスになると思っていたけれども、今回はそこまででもなかった。
また受験期がきたらどうなるかわかったことじゃないし、これも一時的なものかもしれないけれども、完全に憎むことなく済んでよかったとさえ思う。
なにより俺の成長を感じてくれていたことが、少しばかり嬉しかったりして…。
それに、父の仕事への熱意は相当なものだし、今も誰かを助けているのかと思うと、自然と尊敬したくもなる。
俺もそんな医者になりたいのだろうか…。
まだ自分の気持ちがはっきりしない。
まだ俺高校一年生だしな…。
まだ誕生日もきてないから15歳だ。
大人になるのなんて、まだまだ先だ。
もっと時間をかけてゆっくり考えていこう。
颯人と一緒に―。
1週間ほど会っていない恋人を前にすることが楽しみで仕方ない。
寮に着き、黒田さんから荷物を受け取るとすぐに自室へと向かう。
颯人…颯人…颯人っ!
廊下や階段にいる時間さえ惜しいし、部屋に近づくとともに颯人への想いが高まっていく。
「颯人っ!」
勢いよくドアを開けると自然と名前を呼んでいたけれども、部屋を前にすると俺は愕然とする。
颯人はおろか、颯人の全てが跡形もなく消え去っていた―
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