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颯人のいない部屋へと戻ると、一気に涙が流れてきた。
「くっ…うっ……うっ…」
布団にもぐって声を押し殺していたけれども、あまりにも悔しくて枕を拳で何度も殴る。
俺はいつまでもわからないということを理由にして、どっちつかずにして、結局何も考えることなく、今のまま寮の狭い部屋で颯人との関係を続けようとしていたから―
颯人を傷つけた。
目の前のことしか見えてない俺と違って、そんな先のことまで考えて、俺のことを想ってくれている颯人を…。
颯人の笑った綺麗な顔を思い出す。
俺のすぐそばで、抱き締めていたはずだった颯人の存在を思い出す。
―――このままじゃダメだ…。
涙を拭い、席に着き、ノートを広げる。
こんなことしたことがなかったけれども、自分の気持ちを整理する。
医者になりたいのか、父との向き合い方、昔思っていたこと…。
こう考えても何を書いたらいいのかすぐにはわからなかったけれども、颯人が好きだということは真っ先に書いた。
夏休み中、どうしたらいいのか、どうしたいのかを必死に考えた。
その答えがまとまった夏休みの終わりに近づくころ、俺は再び実家へと訪れた。
父と話す約束をして…。
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