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夏休みも終わり、新学期が始まった。
部屋が変わった今、寮では廊下や食堂で偶然居合わせた颯人を遠目で見ることができなくなっていたので、久々に教室で颯人に顔を合わせることになる。
「おはよ。」
先に席に座っていた俺は、颯人の気配を感じ後ろを振り返る。
1か月ぶりに目の前で対面する颯人は、背も髪もさらに伸びていて少年っぽさがだんだんと薄れていっている気がした。
さらに、妙な色気さえ漂っていてドキっとする。
たった1か月でこんなにも変わる颯人に驚いたけれども、できるだけ何事もなかったように普通に話しかけた。
「はよ。」
颯人も、俺を見て笑ってくれる。このままもと通りになれるのではないかって淡い期待さえもってしまう。
「宿題全部できた?こことか颯人、わからなかったんじゃない?」
颯人の苦手な数学の問題を引き合いに話続けようとする俺は狡い。
そうまでしてでも颯人と話したかった。
「できたよ。サンキュー。」
言葉や表情は至って普通なのに颯人は俺から離れるように席を去るので、俺は一気に落ち込んだ。
「ダメか…」
つい言葉にでてしまうほど、ショックだ。
あれから、いろいろと整理して、自分の気持ちが以前よりもみえてきたら…
俺は医者になりたいと思った。
思っていた以上に、俺自身、医者という職種に興味をもっていたんだと思う。
その場合、医者として一流の父に教わりたいと思う気持ちも否めなかった。
でも、颯人とも一緒にいたいと思う。
それは颯人からしたら相反することだ。
そんなんだから、今の状態になっているだろう―。
俺はこのまま終わりにしたくなかった。
だからこそ、父に…。
「須田君、おはよー。」
夏休み前に連絡交換した女子の一人が声をかけてきたので、なるべく感じよく挨拶した。
「夏休みずっと勉強してたんだね。」
「せっかく誘ってくれたのにごめんね。」
「私のことタイプじゃなさそうだし、もう諦めるから安心してね。」
何気に爆弾発言をしながら、ニッコリ笑う女子に凍り付く。
そんな俺を他所に彼女は話し続ける。
「須田君てさ、瀬戸君と仲いいよね。」
先程以上の言葉の破壊力に思考も何もかも停止する。
なぜそこで颯人の名があがる…。
「瀬戸君ね、ブームきそうなの。今度、須田君の好きそうな女の子連れていくから4人で遊ばない?瀬戸君て、テンション高めだし友達から入った方がよさそうかなって。」
さすがは名門校…分析力のすごさに唖然とする。
それと同時に今後ライバルがどんどんできることを知らされる。
「颯人も部活忙しいから、どうだろうね。」
ニッコリ笑い返し牽制したと同時に、始業のチャイムが鳴った。
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