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告げた瞬間に、颯人は思いきり傷ついた顔をしたので、説明を急ぐ。
「颯人が部屋から出て行ってから、いろいろ考えた…。医者になるからには、技術も設備も整ったうちの病院で学ぶことはいいことだと思うし、父からもいろいろな面で教わりたい。っていう俺の意志があった。」
「…わかった。」
颯人がそう呟くと、そのまま出口へと振り向いたので止める。
「待って、颯人!ちゃんと聞いて!」
今にも泣きだしそうな颯人にちゃんと伝えたい。
「だから、父さんにうちの病院を継ぐから、颯人との交際を一生認めてくれって言ってきた。」
「……………はっ?!」
驚愕の表情をみせ何も言えなくなる颯人に、コクリと頷く。
これを父に伝えることはどれだけ勇気が必要だったことか…。
「最初父さんは、思春期だから…とか若いうちからそんな先のことは決められないって言ってきたんだけどさ…。何度も話して俺はもう颯人しかいないと思ってることをようやく昨日わかってもらえたんだ。」
頭ごなしに拒否されたり、病気扱いされカウンセラーにでも連れていかれることになったとしたら俺は絶縁も考えた。
すぐには男の同級生を愛した事実を受け入れられないようだったけれども、父なりに俺を尊重してくれだしたので、ひとまずホっとしている。
母は、同性相手ということよりもすでに俺に付き合う相手がいることに大きくショックを受けているようにみえた。
でも、そのうち会わせて。と、いってくれた。
昔のように、ただただ言いなりの俺はもういない。
自分の意志があるからこそ、ちゃんと家族に言うことができた。と、思う。
でも、ここまで言っても颯人の表情はまだ晴れない。
「俺と付き合ってたら…跡継ぎできないじゃん…。」
そんなことも心配してくれる颯人に申し訳なさが募る。
俺よりもずっと前から俺とのことを考えたからこそ、子供のことも無視できなかったんだよな。
「あんな立派な病院…他の奴に渡してほしくねーよ…」
「だな。だから、姉の子に継がせる。」
その発想がなかった颯人は目をパチクリさせていた。
正直俺もこんなことを考えたことがなかったけれども、颯人との未来を考えた時に頭に浮かんだ。
姉に関しては、今流行りのBLじゃん。と、だけで納得したようだ。
「もちろん、姉の子が医者になりたいって言ったらだけれども…少なくとも姉は乗り気で、今から跡継ぎを産む気満々だった。だから、俺も継ぎたいと思ってもらえるような病院を目指そうと思う。」
これを伝えると、颯人はその場でしゃがみこんだ。
「マジかよ…一誠家族の人生変えちまったよ…。」
「それくらい颯人の存在は俺にとって特別だ。」
これはもう理屈じゃなくて、颯人を見るとたまらなく触りたくなる…。
他なんか全然目に入らなくなるくらい、颯人のその顔をずっと見ていたいと思う―。
「この年齢でそう思える人に出会えてよかった。お互いに自立したら、海外で式挙げよう。」
これを言うと、颯人は顔を真っ赤にしだす。
「何言ってるんだよ?!ほんと思春期の暴走なんじゃ…」
俺は至って大真面目だ。
こんな大事なこと冗談でも軽々しく言えるわけがない。
そんな俺の想いが伝わったのか、颯人もじっと俺を見つめるようになる。
「颯人、今だけじゃなく俺とずっといたいと思ってくれてありがとう。」
大好きな颯人の顔に触れ、目から溢れそうになっている涙を指で拭う。
お互い何も言わなくても、気持ちが通じ合っていることがわかった。
そのまま久々のキスを交わした。
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