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嫌よと言うなら嫌なんだろう。
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頭は別に悪くはないし、顔も上の下、
エリート街道と言うわけでもないが、それなりに良い会社に勤める
何事もそれなりが一番を具現化したような人生を送ってきた。
そんな俺はSEの出水 榛。御年26。
その俺に電話で告げられた言葉。
「ごめんなさい、別れてほしいの。実は好きな人ができてしまって___」
一瞬呆けてしまったが、まぁそのぐらいなら許容範囲内だ。
彼女は泣いているのか湿った声で言い訳をたて並べる。
別れるのならめんどくさい事は避けて、落ち着きたいのに、今日が誕生日だと言われて用意していた色んなものがビニール袋に入れられて、自分の手に食い込んでいく。
「俺の事は気にせず、彼氏の方にいってやれ。元カレと言えど、男と長話するのも相手が心休まらないだろうから。それと、幾つか。誕生日おめでとう。いままでありがとう。幸せになれよ。」
少し声を震わせつつそう言うと、うん。と小さな声が返ってくる。
じゃあな、と通話終了のボタンをタップすると、行き場のなくした祝いの品たちが主張するように夜のネオンを反射している。
「お前たちの行き場はもうないよ。食いもんは俺の腹のなかだな...」
軽く自嘲気味に笑うと、思ったよりも傷がついていたのか目に涙が滲む。
ネックレスを買ってみたが女物だしどうしよう何て考えがいっそ冷静になった頭に浮上する。
はぁ、と小さなため息をついて、足早に帰宅した。
傷心を癒すのには酒だとほぼやけになってワインを取り出すが、あいにくと今日は木曜日。
どうせなら明日にでもゆっくり飲もうとボトルを保管した。
俺のことが嫌なら、せめてどこが嫌なのか聞けばよかったななんて思いつつざっとシャワーを浴びて、食欲をなくした俺は、疲れきったからだをベッドに委ね、ただただ貪欲に睡眠を貪った。
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