アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
20
-
「っ、何をする…」
ポイッと放り出されるように、室内のソファーの上に身体が投げ出された。
「そこに居直れ」
「ゆ、うが…?」
ギリギリとこちらを睨みつけてくる悠牙の顔がこれ以上なく怒っていて、私は一瞬も動けなかった。
「っ…」
ズカズカと側までやってきた悠牙は、硬直する私の身体を引き倒し、それを何故か膝の上に抱え上げた。
「っ…?」
こ、の、体勢は…。
まったくいい思い出のない姿勢にされて、私の身体はますます強張った。
バシンッ!
おもむろに、膝の上にうつ伏せにされた身体の臀部を叩かれた。
「痛い!きさまっ?」
「何故痛いのかを考えろ」
怒りにドスの効いた声を発しながら、悠牙がまた1つ尻を打ってくる。
「痛いっ…」
「何故だ」
「そんなものっ…きさまが、打つから…」
痛みと衝撃にのけ反りながらもがいたら、「馬鹿か」と言わんばかりにまた1つ、お尻を強かにはたかれた。
「痛っ、つぅ…離せっ!下ろせっ…」
「答えが出せたらな」
「ふざけるなっ、私は、私は…」
きさまに叱られることなど何もしていないじゃないか。
「未遂だった!」
「だから許されると思うなよ?」
「少し剣を奪おうとしたくらいなんだ!痛っ…」
「ハズレだ」
「っ〜〜!だからっ、あれはきさまの命を狙ってのことではなくて…っ」
そう言っているのに、何故仕置かれればならないのだ。
「それも違う」
「っ!だったら何…痛い、痛い、痛いっ…」
予告もない連打に襲われ、私は喚きながらぐったりと悠牙の膝に突っ伏した。
「何故痛い?」
「っ、そ、れは…」
分からぬ。もう分からぬ。
私がきさまの命を狙ったと思われているからではないと言われてしまったら、もう他に理由など思いつかない。
「何故、痛いんだ、彩貴」
「分か、らぬ…っ」
くぅっと痛みに顔を歪めながら、私は終わらぬ苦痛にフルフルと首を振った。
「生きているからだ」
は…?
いや、悠牙は、何を?
「痛いのはな、生きているからなんだ。おまえは、生きている」
「はっ…?」
な、にを…。
ピタリと止まった悠牙の手と同時に、私の思考もピタリと停止した。
「痛みは生きている証だ」
「っ…」
「生きているから痛いんだ!」
「ゆ、うが…?」
「死のうとなどするな」
「っ…」
「殺そうとなどするな!」
「私は…」
「おまえが狙っていい命は…殺していい命は、この俺、悠牙のものだけだ!覚えておけ」
グィッと膝の上に抱き起こされ、トンッとその胸を示されて言われ、私の目からボロリと涙が溢れた。
「何故っ…」
「そんなの、答えは1つしかないのにな」
「何故だっ!何故っ…何故」
ボロボロ、ボロボロとあふれる涙が止まらない。
「何故…っ」
「彩貴」
「っ〜!何故っ…」
憎いのに。
憎かったのに。
悠牙が怒った理由に気づいてしまったらもう駄目だ。
痛みの理由を知ったら駄目だった。
「きさまが憎いっ…」
だって私の両親を殺した男なのに。
「憎いっ…」
私にとっては最低の殺戮者なのに。
「憎い…っ」
「あぁ、憎め」
っ、憎いのに、その憎しみさえ奪っていく。
「憎い…」
「憎め」
だから憎い。
「憎め」
きさまが憎い。
「憎い…」
(慕ってる…)
ぎゅぅと抱き締められた身体が震え、塞がれた唇に涙があふれた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
20 / 68