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✳︎
「悠牙っ!だから、きさまはなっ…」
ヒラリ、と華やかなドレスを身体に当てられて、私はキィキィと悠牙に食ってかかっていた。
「なんだ?お〜、よく似合う。さすがは前王妃似の美貌だな」
「きさまっ…」
ケラケラと笑っている悠牙が腹立たしくて仕方がない。
「私は男だ!」
確かにきさまの妃になるとは言ったけれど、女になったつもりはない。
「え〜、せっかく似合うのに。立后式の衣装、マジでホワイトタイにするのか〜?」
つまらん、と口を尖らせる悠牙だが、むしろ私のドレス姿など、誰が楽しむというのだ、誰が。
「きさまっ、殺すっ!」
バシッと華やかなドレスを叩き落とし、悠牙に向かって殴り掛かりに行った手は、パッと掴まれ、逆にぐるんと背中に拘束された。
「くっ…離せっ」
「だ〜か〜ら、このじゃじゃ馬姫」
「姫ではないっ!」
「じゃぁじゃじゃ馬妃?」
「変な名をつけるなっ!」
「まぁなんでもいいけどお仕置きな?」
は?
いや。
確かに殴り掛かりはしたけれど。
殺すとかなんとかも叫んだけれども。
「さぁて、覚悟。ひとぉ〜つ!」
「ぎゃぁっ!き、さまっ…」
いきなり突き出たお尻を思い切り叩かれた。
「ふたぁ〜つ!」
「ひぃっ、痛っつぅ…離せっ!」
「まだまだぁ〜、みぃ〜っつ!」
「ひぃゃぁっ、痛い!痛いっ…」
「仕置きだからな?」
「やめっ…離せっ」
「おまえね…」
反省しなけりゃやめないよ、と、呆れた悠牙の声が落ちて、ついでに厳しい平手も落ちた。
「い゛っ…だぁぃ」
思わず息が詰まるかと思った。
服の上からなのに何故こんなに痛い。
「もっ、無理だ!降参だっ…」
だから叩くのをやめてくれ。
「いや、そう言われてもな?」
謝らないとやめないぞ、だと?
「だ、れが、きさまになどっ…」
「おまえな」
「離せっ、やめろっ…」
「剥くか…」
ヒッと変な悲鳴が喉に絡まって、ズボンの腰元にかかった悠牙の手に泣きそうになった。
「い、やだ…」
だって服の上からでもすごく痛かった。
「ふははっ、今さら震えるくらいなら、さっさと謝れ」
「癪だっ…」
「だから、おまえね…」
ほ〜んと強気、と笑う悠牙が、もう1発バシリと平手を落とし、身体はベシャッと床に落とされた。
「っつ、痛い…」
「はぁ〜あ、次からはもっと別の罰にするかな〜」
「はっ?」
「だっておまえ、俺の妃だよな?」
「だから何だっ…」
「つまりは婚姻相手だ」
「それがどうした」
床に膝と片手をついたまま、四つん這いのような形で臀部をさすりながら、私は話の見えない悠牙を見上げた。
「ん〜?だからさ、そっちの方も、ちょっとずつ躾けていかないとな?と思ってな」
「そっち?」
なんだ、それは。しかも躾とは何事か。
「伽だ」
「と、ぎ…?」
っ!
「あ、知ってた?」
「王が妃(きさき)を寝所に呼んで…」
「お〜」
「は、裸でっ、抱き合って寝るという…」
「まぁ大まか正しい」
うんうんと、頷く悠牙は私を馬鹿にしているのか。
「それくらいはきちんと習っている!だが、そもそもきさまは、私と裸で寝て楽しいのか?」
「そりゃな…って、彩貴、おまえまさか」
「こんな平たい男の身体を抱き締めて寝ても、気持ちよくもなんともないと思うぞ」
「ぶはっ…。あ〜、なるほど、そうなるか」
なんだ。
何を吹き出す。
「さすがは王族のおぼっちゃま王子」
「なに?」
「肝心なところはな〜んにも教わってないらしい」
「何か間違っているかっ」
「うんうん、熱くならない、熱くならない」
きさまっ。
言葉の1つ1つが苛立たせる。
「全然足りない。まぁでもそれはそれで、1つずつ俺好みに仕込んでいく楽しみがあるけどな」
「っ…」
ゾワッと背筋を這い上がった嫌な予感は何だというのだ。
「まっさらな雪原に初めて足跡をつけられるのか…。それは、お綺麗な教育に感謝しなくちゃな」
あぁ楽しみだと笑う悠牙の笑顔が、なんだかとても黒く見えた。
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