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4.唯一Ⅵ
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「大丈夫!? 憂炎! 雲嵐!」
「憂青!」
続いて憂青が、息を切らせながら倉庫の中へと入ってくる。紅焔が呼んできてくれた。それが間に合ったのだ。
「ちっ。人数が増えましたね……。それでは憂青様も一緒に……!」
「させねーよ!」
憂青に飛びかかった緑永は、その後ろから現れた紅焔の剣によって跳ね飛ばされる。地に倒れた緑永に、紅焔は剣の切っ先を突きつけて憎々しげに笑った。
「お前ら、よくもこの俺を出し抜いてくれたな? 重要な思考だけは読めないように隠しやがって。ただで済むと思うなよ!」
「……面倒ですねぇ! 狐月!」
「はぁい。いけるよー、緑永さま!」
緑永と狐月はそれぞれ、紅焔と熇白に襲いかかる。
相手の腕もかなりのものだが、しかし紅焔と熇白は主人を護る為かなりの戦闘経験を積んだ魄だ。
その上、今は一対一。相手の繰り出す剣を難なくいなし、反撃の斬撃を叩き込む。
「憂炎! ここは私たちに任せて早く雲嵐を!」
熇白が狐月の攻撃を受けながら、こちらに横目を向けて訴えた。それに憂炎はこくりと頷き、雲嵐の身体を抱きかかえる。そして隙を見つけたその瞬間、腕に力を入れて彼を持ち上げ、倉庫の外へ向かって走り出した。
「緑永さま! あいつらが逃げますよ!」
「くっ……! させませんっ……!」
狐月の叫びを聞いた緑永が、憂炎の行く先を阻もうと剣を持って走り出す。その切っ先が憂炎の身体に触れる直前、紅焔の剣が緑永の剣を弾き飛ばした。そして立ち上がろうとする緑永に向かい合ったまま、大声で叫んだ。
「行け、憂炎! 何も気にせず走れ!」
「わかった! ありがとう!」
助太刀に来てくれた三人に礼を言いつつ、憂炎は倉庫の外へと走り出る。そして雲嵐を抱えたまま、自室へと急いだ。
腕の中の雲嵐は生きてこそいるものの、その身体に力はなく、白い肌が更に青白くなっていた。浅く小さい呼吸はいつ止まってもおかしくない。
憂炎が助けに来るより相当前から痛めつけられていただろうその身体は、既に限界を超えていた。
「雲嵐、もう少し、耐えてくれ……!」
庭園を走り、廊下を走り、そしてようやく自分の部屋に辿りついた。
雲嵐の身体を抱えたまま、自分の身体で扉を押し開く。
部屋に入った憂炎は、急いで寝台の上に雲嵐の身体を横たえた。急いで箪笥の中から手当に使えそうな白くて薄い寝衣を取り出し、剣でそれを裂きながら雲嵐の傷を探して巻いていく。
あらかた大きな傷を手当し終えた頃、雲嵐が静かに目を開けた。
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