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「うみ、まてっ、うみっ」
「なに」
「なに、って、」
何じゃないだろう
なんで俺ウミの腕の中にいるんだよ
身じろぐと俺を覆う腕に力が込められた。
否が応でも今の状況を知らしめられ体が熱くなる。
吐息をすぐそばに感じて言い表しようがない感覚が背筋を這う。
「融」
「っ」
暗くて、今のウミもわけわからなくて怖いのに
ウミだからって理由だけでどこか安心もしている。
わけがわからない、俺頭良くないんだよ。
「うみ、変だ」
「そうかもな」
肩に乗った頭がスリと擦り寄る。
思わず体が跳ねた。
くつくつと低音が鼓膜を叩いた。
「何、笑ってんだよ」
「ん」
「ん、って…」
先程からウミの様子がおかしい
もしかして、
「ウミ」
「ん」
「もしかして眠い?」
「うん」
うんってなんか可愛いな…
じゃなくて!お前!!
「眠いって、さっき図書室で寝てたっていってなかった?」
「寝たら眠くなった」
「…」
絶句した。
いやいつも通りといえばいつも通りだけど
俺がどれだけ怖い思いしたかわかってるのか!?
そもそもウミが待っていてくれなければ自分は学校から帰れなかったことは棚に上げる。
いつも通りのウミに安堵して胸を撫で下ろした。
ふう、と一息ついてウミの背を軽く叩く
「寝るなら、向こう行く、か?」
「ん」
腕がほどかれて窮屈さはなくなるのに寂しさを覚える。
何考えているんだと首を振る。
確かこの辺に、と壁を触り
玄関近くのスイッチを手探りで見つけて明かりをつける。
パチ、と軽い音が響く。
ウミの家は
夜らしく静まり返っていた。
朝、ウミを起こしたベッドに今度は寝かせる。
何やってんだろうと考えているとまた腕を引かれた。
バランスを崩してベッドに背中から倒れる。
ゴツゴツした硬く壁よりは温もりを感じるそれ
海に後ろから抱きしめられるように横になっていた。
「ちょ、うみ」
「お前、もう泊まれよ」
「はあ?」
「眠い」
「風呂は?」
「朝はいる」
「…」
「帰んなよ」
「帰んないけど…」
それだけいうとウミは満足したのか
すうすうとすぐに寝息が聞こえる。
眠っていないんじゃないかってくらい強い力でお腹に回る腕
何度か腕が外れないか試してみたがやっぱりダメで
諦めて大人しくウミの腕の中で眠ることにする。
ウミの家でウミの匂いがいっぱいでウミに包まれて眠る。
健全な男子高校生には刺激が強い。
そりゃウミは俺の気持ちなんて知らないでしょうし
どうでもいいことかもしれないけどさ
『約束』
さっきのウミが頭から離れない
冷たくて、なんにも考えてないような声
それとは裏腹に縋り付くみたいに強まる力
ウミに触れられた部分が熱い
今も、熱い
『破んの』
破れるわけが無い
その約束が無ければ俺はきっとウミの隣にいる資格なんてないのだから
目を瞑る。
いつもは豆電球を付けて部屋ができる限り暗くならないようにしている。
でも今日は真っ暗で、ただウミがいる。
それだけて俺はいつもの恐怖心はなく満たされてしまった。
さっきは怖いと思ったのに、本当に分からない。
ウミのこととなると俺はいつもの3倍くらい馬鹿になるみたいだ。
もう、頭使いすぎた、疲れた。
温もりへ擦り寄る。
鼻腔をくすぐるウミの匂い。
いつか、ちゃんと言うから
もういいかいって聞いて
もういいよ、っていうから。
だから、今だけは。
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