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時は夏休み
梅雨も明けて晴れた青い空
ウミの教えが良かったのか俺の努力のおかげか
『ウミ!見ろよ!ウミ!!』
『…』
『楢崎自分の教室戻れ!』
何とか期末テストは平均以上を取りきった俺
HRで全教科の成績表が配られた時は、嬉しすぎて離れているのにウミのクラスまで走って紙を見せに行った。
そしたらウミのクラスの担任にも自分の担任にも怒られたし、クラスの奴らにもウミのクラスの奴らにもめちゃくちゃ笑われた。
放課後は職員室に呼ばれて反省文書かされたし
肝心のウミはというと、それまで寝てたのかなんにも言わずうるさって顔した後すぐにまた顔を机に突っ伏してた。
そんなハプニング?はさておき
俺はウミと電車に揺られ一時間
「ウミこれは?」
「ああ」
テスト前にウミがくれた提案、もといご褒美のため新しく出来たショッピングモールに来ていた。
だというのに、
「こっちは?」
「ん」
「真面目に!こたえろ!」
「答えてんだろ」
どこがだよ!?
服を見始めて30分くらい経ったけれどずっとこんな感じだ。
ウミが買ってくれるならせっかくだしウミに選んでもらおうかと思ったのに抑揚のない声で相槌ばっか
彼氏と買い物に行って何でもいいねって言われて腹が立つって言ってた女の子の気持ちが少しわかった気がする。
俺ウミの彼女でもなんでもないけどさ!
俺の気持ちに気づいてくれなくていい。
特別扱いはされているからなんでもいいけどそれでももう少し興味持っても良くないか?
お前が買う服だぞ??
口を尖らせて拗ねた顔をしてみたがウミの顔色は変わらない。
変わられても俺がびっくりするけど
「はー」
「…」
ついでてしまったため息
いや仕方ないだろ?
最近雨続きで期末テストもあり気分は滅入っていた。
そこでやっと天気は晴れ、ついでにテスト結果もまずまずというか俺にしてはいい方
しかも、久々にウミと買い物という名のおでかけと浮かれていた俺の気持ちを返して欲しい。
「そもそも」
「ん?」
「そんな選んでどこに着てくんだよ」
興味なさげな瞳
ウミは服に無頓着だけれど
俺はこういうのって見てるだけでも楽しい
そんなに毎月使える小遣いはないから沢山買えることはない。
けれど、限られた中から自分の欲しいものを見たり選んだりするのは心が踊る。
確かに興味ない人から見たら聞いてもつまんないだけか
上がりっぱなしだった気分もだんだんと下がってくる。
別にウミが悪いってわけじゃない。
幼馴染みだからって好みが似ているわけでもなんでもない。
どちらかというとウミとは音楽の好みも漫画の好みも異ない合わないことの方が多い。
そう考えると俺たちが一緒にいるのって本当に不思議だ。
それこそ、何か理由がないと隣にいられないみたいだ。
うわ、いま嫌な思考になった。
最近多いな
俺は首を振って女々しい考えをどこかにやる。
えっと、なんだっけ
服選んでどこ行くかだっけか
強いていえばウミと出かける時に着るくらいだけど
本当に俺ってウミばっかだな。
よくこれでウミも気づかないよな。
鈍感すぎないか?
なんでか理不尽に怒りが込み上げてきた。
てきとうな答えを探そうと思い浮かんだのはつい先日の話
「合コン」
「は?」
「こないだ誘われてさ〜せっかくだしお洒落したいじゃん?」
「…」
「ウミ女の子にモテるし好みとかさ、知ってるかなーって」
嘘ではない、と思う。
ウミには言ってなかったけれど夏休みに入る前、人数合わせに誘われた合コン
俺はそもそも夜に出歩くことはしたくないし出来ないから行かないけれどまあ理由としては十分だろう。
そう思い「だから頼むよ」と手を合わせウミの方へ向き直る。
と、
「ウミ?」
「…」
ウミは眉間に皺を寄せ不機嫌を顕にしていた。
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