アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
18
-
ごちそうさまと手を合わせ
食器はキッチンの流しへ
簡単に皿洗いを済ませた後一つ伸びをする。
「ん゙ん゙〜〜〜」
「おっさんか」
「うっさいなー」
ウミと軽口を叩きながら自分の部屋に戻って布団を敷く。
もちろん俺の寝る場所はベッドの上だからこれはウミの分
「自分の分なんだからウミも敷くの手伝えよ」
「…」
「なに」
「ベッドで二人で寝ればよくね?」
「お前は自分の体格を考えろ」
面倒くさがり屋なところは本当に変わらない。
ウミはため息を吐きながらベッドの縁に腰掛けてスマホを弄ってる。
いや、だから手伝えっての!
ため息吐きたいのはこっちだし!!
荒ぶる気持ちに隠れて高鳴る鼓動には見て見ぬふりをした。
「で、一緒にいたの誰」
「はい?」
「迎え行った時」
「ああ、ナノカちゃん?」
ピタリ、ウミの動きが止まった。
布団の準備をしておりウミに背を向けていた俺は
その様子に気づかず今日のことを思い出す。
俺はウミが好きだけれど
女の子を可愛いと思う気持ちは全然ある。
ウミを好きにならなければ今頃俺は
女の子にモテたいとか言ってたんだろうな。
そうでなくとも正直に言えばモテたいという気持ちはある。
中学生の頃は女の子付き合ったこともある。
その子のことは可愛いと思っていたし友人としては話や気が合い一緒にいてとても楽しかった。
この子なら、好きになれるんじゃないかって思ったんだ。
ただやっぱり俺はウミがいいみたいで
半年ほど、そのことはお付き合いをしていたけれど
俺から話をする前にその子には振られてしまった。
「可愛かったよなー」
「で」
「え?」
「だから誰」
なんか機嫌悪い?
ウミの方に視線を向けるとウミも俺を見ていた。
見つめ続けることが出来ず視線を左下に逸らしてしまう。
別に悪いことをしてないのに
どうしてかやってしまったという気持ちが顔を出す。
「あー、ほら、今日の集まりで仲良くなって」
「へえ」
自分から聞いて来たくせにあからさまに興味なさげに相槌を打つウミ
けれどウミの反応はただ興味がないというよりかは…
「ウミなんか怒ってない?」
「怒ってねえ」
逸らした視線を戻してウミの方を見やる。
ウミは明らかにムスッとした顔で俺の目を見ずにそう言った。
いや、怒ってんじゃん
ウミの怒りの沸点がわからないのなんて今更だと思い
俺はそのまま続ける。
今回のことでよくわかった。
それは、ウミが怒っている理由は俺の頭ではわかりそうにないということ。
そして、その怒りに合わせていると俺も意地を張ってしまい今回みたいなことになってしまうということ。
よくよく考えるとだいぶ自分勝手なことだがそう思うことにした。
わからない難問は後回しだ。
テストの鉄則だろ?
「でもさ、ほんと可愛かったんだよ」
「あっそ」
「好きな人に振り向いてほしくて来ちゃったんだって」
「…は?」
ワンテンポ遅れてウミが間抜けな声を出す。
そんなに変なこと言っただろうか。
「心配して欲しかったんじゃねえの?可愛いじゃん」
「…」
「ウミ?」
今度は急に黙り込むウミ
名前を呼んでも無反応で何か考えているようだ。
俺は本当に最近お前がわからないよ。
幼馴染としてちょっと自信無くすわ
布団が敷き終わった俺はウミの座っている隣に腰掛けた。
まだ何か考えているらしいウミの顔の前でおーいと手を振ってみる。
と、
「お前も?」
「は?」
こちらを向いたウミがつぶやいた。
今度は俺が間抜けな声を出す番だった。
今こいつなんて言った。
それはどう言う意味で聞いてるのか
急激に速くなる心音に落ち着けと心の中で何度も唱える。
「いや、俺、好きな人いない、し」
「…つまんねー」
「はい!?」
ウミの言葉に大袈裟に反応してしまい
思わず敬語になる。
揶揄うのもいい加減にしてほしい。
ウミがどういう意図で聞いているのかわからないけれど
そんなことを聞かれたら俺は動揺してしまうんだ。
だって俺はウミが好きだから
希望なんてないのに期待はしてしまう。
嫌な、浅ましい気持ちが顔を出す。
さっきの俺はちゃんと話せていただろうか。
ちゃんと幼馴染の顔だっただろうか。
なあ、ウミ
お前には俺ってどう映ってんの?
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
18 / 32