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「わかってるよだから別にゆうくんに怒ってるわけじゃない、怒ってるけど。本当は嫌だけどそれじゃゆうくんが楽しくないから我慢してるんだよ、本当は全部嫌だよ。友達と楽しそうにしてるのも僕の見えないとこにいるのも全部嫌だ。…………僕だけのゆうくんでいてほしいのに」
元春はまた俺に抱きつく。苦しそうにものを言う背中を、またさすってやる。
「…………わかってるよ、ちゃんと。だから別に制限はしてないじゃん。行くなとか遊ぶななんて言わないよ。…………現実的じゃないこと自分が望んでるのは僕が一番よくわかってるよ。僕だって他にやんなきゃいけないことあるし……………………就活とか学校とか。……………馬鹿みたい……」
顔を見せてくれない元春は静かに言葉を吐き出した。こいつがイラついてる理由は他にもあるのかなと思う。就活。俺にはまだわかんない。
「……………でも言われないのは不安になるし、連絡取れないのはつらい」
「……………………悪かった」
ぎゅっと俺にしがみつく恋人を慰める。つらそうにしてるから、思わず同情してしまう。
………………なんて気持ちには、特にならない。
俺は別に束縛されて嬉しい人間じゃない。
「ていうか監視してるの知ってるよね?」
パッと離れて元春は俺を睨んだ。
「偉そうに言うな。それを俺が許してやってる側だろ」
「隠されてるみたいですごく嫌なんだけど。なんでそういうの分かんないの?」
「っ……知らねーよ! つーかさぁ、いなかったのあんただろ!飲みに行くって奴に普通連絡取らねーよ」
「普通連絡しない? 二人で飲んでたんでしょ。しかも泊まったんでしょ。意味わかんない」
そう言って元春は俺を睨む。あー、そ。そういう考えかよ。
「ただの後輩だし。なんもねーよ」
「じゃあスマホ出して?」
「あ?」
「浮気してないなら隠すことないでしょ? それともなんか見られたくないやり取りでもあんの」
ねーよ。ムカついてポケットからスマホを取り出し、奴にぶん投げた。腹立つ。こいつやっぱ頭おかしい。信用されてないことが悲しい。ムカつく。
自分のスマホみたいに操作する元春を眺める。お前のほうが俺よりスマホじゃん。人といるときにスマホ触んなとか言っときながら。
さびしい。
だって、あんなに会いたかったのに。
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