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「……………………………………喧嘩すんのやだ」
何話していいかわからなくなって、拗ねてみる。
溜め息付きだけど、元春が手を広げたので飛び込む。頭を撫でられる。顔を見つめてたら、キスしてくれた。
…………………やっぱ、怒らせてる俺が悪いのかな。
あ、やべ。錯覚するとこだった。流されちゃ駄目だろ。
「たとえばの話するけどさ、」
元春は言う。
「ゆうくんが女の子と付き合ってるでしょ。で、ある夜電話しました。そしたら男のとこに泊まってるとか言います。ただの友達だからってカノジョは笑うけど、それって普通にムカつかない?」
「ムカつく」
「それは分かってくれるんだ」
「…………それは分かんだけど、でも俺からしたら」
「ただの後輩?」
「………………や、あの、そうなんだけど、言葉で言っちゃえばそうなんだけど、感覚としてまったくそういう、アレは、ない。何て言えばいいのかわかんねえけど」
「分かってるよ。……で、もう一個あるんだけど」
ひっくり返されて、今度は俺が下になる。
「マジかよ、まだあんの……」
「ちゃんと聞いて?」
「聞いてる」
「ゆうくんにまったくその気がないとしても、相手が変な気ぃ起こしたらどうすんの」
「いや、無くね?」
思わず笑う。その後輩くんだけのことじゃないと、と元春は笑わずに言った。
「や、うん。あの、言ってることは分かんだけどさ、現実的に、」
「怖い思いしたの、もう忘れた?」
「……………」
あ。
嫌な記憶が甦って、俺は元春にそっとしがみつく。
「…………嫌なこと思い出させてごめん。でも現実にあったことだよね?」
うるさい。言うなよ。忘れろ。忘れたい。あんな怖い思いは二度としたくない。
「だから心配してんのに」
「…………ごめん」
元春はぎゅっと俺を抱きしめる。ずっとこのまま、二人がいいのに。溜め息混じりの呟きに、俺は応えられない。
俺だって出来るならずっと二人だけでいてぇよ。でもそんなん、どう考えたって無理なことだろ。
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