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デート4
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時刻はもうじき午後13時を少し過ぎようかといったところ…
服を買った後、信と葵は広いアウトレット内を気ままに見て回り――
葵用の日用品なんかを買い足した後
少し歩き疲れた二人は屋内のフードコートへと入り
空いている数ある席の中から手ごろな席を選んで椅子の上に荷物を置くと
葵が申し訳なさそうに信に向かって小声で話しかけた…
「信…俺、ちょっとトイレ…」
「おう行ってこい。俺は此処で待ってるから。」
「分かった。」
信にそう言うと葵は辺りをキョロキョロと見回した後
トイレのある方向に向かって歩いていき――
信はそれを見た後、椅子にゆったりと腰を下ろしながら
午前中にメンズショップで見かけた三人の男たちの事を思い出す…
―――アイツ等…明らかに葵の事を見てたよな…
信はメンズショップであの違和感を覚えた三人の存在を認識した時から
事あるごとにその動向を目で追ってはいたが――
試着室の横に立っていた信には目もくれず…
他の客の後ろに隠れるようにして立ちながら
まるで品定めでもするかのように葵の事を見つめるあの三人の視線を思い出し
信が眉を顰める…
―――最初あの三人を見た時…
俺は狙われている可能性があるからそっち関係を疑ったんだが――
思えばこんな真昼間にそこそこ人出のある場所で誰かを襲うだなんて
今時そんなリスキーな真似するヤツ…
昨日俺が始末した使い捨てレベルのヒットマンですら
やろうとは思わん事だから――
今はそっちの線を捨ててもいいだろう…ただ――
信は口に手を当て…さっき買った荷物の山を見つめながら考え込む…
―――アイツ等の葵の事を見つめるあの目…
あの目がさぁ…どーも引っかかるんだよなぁ~…
あの何か…後ろ暗いことを考えていそうな目が…
裏社会で生きてきた信だからこそ分かる
“良からぬ事を考えている人間の目の動きや表情”が
メンズショップで見たあの三人にバッチリ当てはまり…
信は嫌な予感を拭えない…
―――裏社会に生きている人間なら
行動にそこそこの線引きがなされているから
まだある程度コチラが考えを読めるだけマシなんだが――
最近の“普通の人”は突如として“普通の人を辞める”からな…
考えが読みにくいんだよ…
ましてや二人以上集まると気持ちが大きくなって
行動もより大胆になりやすくなるから予測がつきにくくて厄介なんだ…
だから余計に気になるんだよ…
あの嫌な目つきの三人が何かをしでかさないかを…
「………」
信は不意に視線を上げ、辺りを見回す
―――まだ平日とはいえ昼間の時間帯…人目もそこそこあるから
大丈夫だとは思うが――
何だ?この…纏わりついてくるような嫌な予感…
信は一抹の不安を胸に、葵が帰って来るのを待った…
※※※※※※※
「――あの美人さんがようやく連れから離れ…
一人トイレに向かったっぽいぞ。」
『やぁ~っと離れたか…
ったくあの二人…何時までも恋人同士みてーに
イチャイチャとくっついて歩き回るもんだから見ててイライラしてたぜ…』
「まあそーゆーなって。
粘りに粘ってようやく訪れたチャンスだ…有効に使わせてもらわないとな。
そのイライラ…早速あの子で解消しようぜ…」
『だな。ちーとばっかし背が高いのが気になるところではあるが――
あんな美人…この先お目にかかれるかもどーかもわからねーしな…
たっぷりと可愛がって――楽しませてもらおうぜ…』
「ああ…
それよりもあの子がトイレにたどり着く前に準備しとけよ?
途中邪魔が入ったら興ざめだからな…
俺も今からそっちに向かう…」
『おっけ。じゃあ他の客追っ払って
美人さんの歓待準備しとくわ。んじゃ。』
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