アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
マダム。
-
『だって俺……初めてなんだもん…
本気で好きになった人と……こういう事するの…』
「フッ…」
―――可愛い事を言ってくれるよなぁ…葵は…
二人が激しく交わったお陰で寝室のベッドが酷い有様になってしまい…
信は仕方なく気絶するように眠る葵を抱え――
信が普段仕事部屋として使っている書斎に連れて入ると…
信は自身が足を伸ばしても余裕で横になれるほどの広いカウチソファーの上に葵を横たえ…
自身の膝の上に葵の頭を乗せながら――葵を起こさぬよう…
そっとソファーに腰を下ろすと
指先でしっとりと汗ばむ葵の額を軽く撫でる…
『気持ちよすぎて……、どうにかなりそうで…っ、
だから怖かったの…っ!
こんな事――信が初めてだったから…、』
―――俺もまさか初めての男とのセックスで…
あんな我を忘れるほどに葵にがっつく事になるとは思いもしなかった…
額を撫でていた信の指先が――葵の首筋へと移り…
白い肌に散る小さな朱(あか)い花びらにそっと指を這わせると――
信はその瞳をスッ…と満足そうに細める…
―――お互い……初めて尽くしだな…
あんな動物みたいに無我夢中で相手を貪るようなセックスも初めてだし――
こんな痕(あと)一つで…
ここまで満たされた気持ちになるも初めてだ…
信が葵の首筋に散った花びらを撫でながら、その視線を更に下に移すと…
肌蹴たバスローブの下から覗く葵の胸元には
首筋と同じような朱い花びらが幾つも散っており…
ソレを見た途端――信は思わずククッと苦笑を漏らした
―――それにしても…我ながらヒッデー独占欲…
いくら葵の白い肌に面白いくらい綺麗に花が咲くからって…
流石にコレは付け過ぎだ。
葵の奴……起きたらきっと怒るぞ?
なんせ腹や見えない背中にまで付けたからな…
俺のだっていう証を…
信はクスクスと小さく笑いながら、未だに目覚める気配のない葵の頬を優しく撫で…
これまでにない充足感を感じながら――
自分の膝枕でスヤスヤと眠る葵の寝顔に、信はその笑みを深める…
―――葵……お前は今――幸せか…?
葵の寝顔を見つめながら信はふと、そんな事を考える…
―――俺は今――幸せだよ…
そしてこの幸せは――間違いなく…お前のお陰だ…
葵…
優しく微笑みながら、葵の頬を撫でる信の手は何処までも優しい…
―――お前が傍に居てくれたから…
俺は今…こんなにも満ち足りた幸せを感じる事が出来る…
全部お前のお陰だよ、葵…
もしお前に出会えていなかったら……
今頃俺は――
「………」
信はその笑みを一瞬寂しそうに曇らせると
葵の額にそっと口づける…
するとカウチソファーの肘掛部分に置いていた信のスマホが
ブブブ…と震え始め…
「…?」
―――誰だ…?こんな時間に…
信が怪訝そうにスマホの画面に目を向けると――
そこには“姫島 綾(ひめじま あや)”と名乗る人物からの電話が入ってて…
「…ひめじま…?――誰だっけ…」
―――ひめじま…ヒメジマ…姫島…
ん……ちょっと待て……なんか聞き覚えがあるような…
『あら貴方……新しく入ったホストの子?
随分なイケメンじゃなぁ~い……今の№1のレイ君よりもイケメンじゃない?
その鋭利な刃物のような瞳に――
冷たく相手を見下す表情がサイッコーにそそるわぁ~…』
「あ…」
―――思い出した…
コイツ確か…昇竜会(ウチ)がケツ持ってるホストクラブの常連で――
お目当てのホストであるレイに貢いでた40代くらいのオバッ………
マダム…だったか…
信が薄れかけていた記憶の糸を必死に手繰り寄せる…
―――んでもって確か一年ほど前…
俺がホストクラブのみかじめ料徴収と経営状況の確認の為に
そのホストクラブを訪れた際…
コイツは俺の事を店のホストと勘違いして――
しつこく俺に接客しろと迫ったんだったか…そーいや…
『ねぇ~え~?この店で一番高いボトルと…
ついでにシャンパンタワーにシャンパンコールも入れるから――
貴方…私の担当になってよ。』
『え~そんなぁ~…姫ちゃんの担当は僕でしょ~?』
『っんもう……レイ君は黙ってて。――ねぇ…いいでしょう…?』
『…お客様……生憎(あいにく)私はホストではないのでそういった事は…』
『あら貴方……声も素敵ね。
ねぇ~…そんな事言わないでさぁ~…私貴方の事、凄く気に入っちゃった…
何だったらシャンパンコール二回頼んじゃうから…ね?ね?
お願いだから今日だけでも私に付き合ってよ。
あ。ちなみに私…姫島 綾って言うんだけど――聞いたことある…?
この店にかなり貢献しているお得意様だと思うんだけど…
ねぇレイ君……そうよね?』
『ッそれは――』
『………』
『…例え貴方がココのホストじゃなかったとしても…
上客である私の機嫌を損ねるのはあまりよろしくないんじゃない?ねぇ…?』
『………』
―――一番高いハウスボトルにションパンコール…それにシャンパンタワーは
店にとっても大きな利益だったから…
俺はその日仕方なくホストの真似事をして――このマダムのご機嫌を取ったが…
その日以降……このマダムこと姫島 綾は
俺の何処をそんなに気に入ったのかは知らんが
店にしつこく俺の事を尋ねては――
何度も俺に会わせるよう…店側に要求したんだとか?
尤も店側がそんな要求を呑むわけもないし――
なにより俺もあの日以来…
あのホストクラブへの徴収は別の奴を向かわせるようにしていたから
姫島 綾に会う事はあれ以来なかったハズなんだが…
その姫島 綾が今更俺に一体何の用があるっていうんだ…?
あれからもう…一年以上が経つってのに…
つか俺のケータイの番号を一体何処で知ったんだよ…
なんかもう…気味が悪いな…
「………」
信は眉を顰め…暫く震え続けるスマホの画面を見つめていたが――
流石にケツを持ってるホストクラブの常連かつお得意様からの電話を無視する事は出来ず…
信は仕方なく通話ボタンを押した
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
143 / 200