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金主。
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「―――姫島…?」
信が怪我んな顔で聞き返す
「ああ……姫島 綾。46歳独身…
自然派のペットフードを専門に取り扱っている店“Aya”の女社長で――
未だ衰えを知らないペットブームのお陰でここ数年…
かなり売り上げを伸ばしてきているらしい…」
「へぇ~…」
信はさり気なくスマホに残る姫島からのメールや着信履歴を削除していく…
「本人自身も大分羽振りが良いようで――
毎晩のようにホスト遊びに明け暮れているんだとか…」
「ふ~ん…それで?そのペットフードの女社長と殺された加藤 修也に
一体どんな接点が?」
「まだ分からん…
だが加藤 修也が黒狼会の若頭候補だった事を考えると仮定の話…
姫島は黒狼会の“金主”だった可能性が考えられるな。」
「金主…」
信が渋い顔のままスマホの電源を切ると
そのスマホを胸ポケットにスッ…としまい…
―――なる程……もしその話が本当なら
姫島と加藤が会っていても何ら不思議はないか…
なんせこのご時世…ヤクザが組織を保つうえで“金主”…
所謂スポンサーはなくてはならない存在だからな。
それなりに高い地位の奴等が金主の機嫌を取る為に接待をする事は
よくある話だし…
かくいう俺も――
「信。」
「ッ、ンぁ?!」
「それで――そのディナーとやらは何時ごろに終わりそうだ?」
「あ…、ああ…俺の予定では21時前には終わらせるつもりだが…」
「そうか……ならお前の用事が済み次第俺に連絡をいれてくれ。
俺はそれまで署の方にいるから…」
「分かった。」
「ところで――」
「…?」
「“金主”とは何か聞かないんだな。」
「っ…、」
「フッ…まあいい。それじゃあ俺はこれで…」
「っああ…じゃあな。」
そう言い残すと仁は部屋から出て行き…
「フゥ~…」
―――っぶねぇ~…
気の抜けた信はだらけた姿勢で背もたれに寄りかかりながら天井を仰ぎ見る
―――金主なんて言葉…ヤクザ以外使わねぇもんなフツー…油断した…
でもまあ…久米の親父と繋がりがある事は既にアイツにも知られているんだし
今更気にする事でもないんだが…
にしても――
思わぬところから姫島の名前が出て来て焦ったぜ。
うっかりディナーの相手の名を口にしなくて良かった…
信は再び安堵の息を洩らすと姿勢を正し…
パソコンと向き合いながら考えを整理する
―――しかしあくまで仮定の話しとは言え…
もし姫島が黒狼会の金主だったとすると――
益々今になって姫島が俺に接触してきた理由が気になるところだが…
「ふむ…」
信が口に手を当て…
画面に表示されている納期の近いプロダクトの状況をチェックしながら
その眉間には徐々に皺が寄る…
―――まあ…あくまで仮定だし…
今気にしてても仕方のない事ではあるんだが…
だがもし…
もし姫島が本当に黒狼会の金主で――
昇竜会がケツ持ってるホストクラブに入り浸っていたのにも
何らかの理由があったとしたら…?
そしてその理由は当然黒狼会絡みで…
俺と初めて会った時から俺に執着していたのも
実はあの時から既に俺について何かを知っていて――
それで俺から何かを聴きだす為に多少強引にでも接触してきた可能性も…?
「いや…それは流石に考えすぎか…?」
画面を見つめながらそう呟くと信は近くに置いておいた紙の資料を手に取り…
画面と見比べながら難しい顔で考え込む
―――もしあの時から俺の事を知っていたのなら
わざわざ“M”とやらに俺について聞く必要もないわけだし…
そもそも姫島が本当に黒狼会の金主かどうかもまだ分かってないしな。
今わかっている事とといえば
“姫島が殺された黒狼会の若頭候補と会っていた”という事だけし…
ま、考えても始まらん。
今はとりあえず姫島とのディナーで
どれだけ多くの情報を引き出せるかに集中しよう。
「…よし。」と信はパソコンの前で軽く気合を入れると――
先ずは目の前の仕事に集中した
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