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ショッピングモール。
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「…では…昨日話した通り、第一班は一階を。
第二班は二階の張り込みを頼む。」
『一班、了解しました。』
『第二班も了解です。』
時刻は午前9時を少し過ぎ…
既にほぼ満車状態の広い駐車場内で――
一人のラフな格好をした男性が
ワンボックスタイプの車の運転席から無線で何処かに指示を飛ばし…
「第四班と第五班はそれぞれ立体駐車場と地下駐車場で
何か不審な車両が無いかの確認を頼む。」
『第四班、第五班了解です。』
「…既に清掃員などとしてモール内に配置についている第三班からは
まだ特に動きはないとの報告を受けている。
それでは各班、くれぐれも注意を怠らないよう…慎重に行動してくれ。
また何かあったら俺に連絡を。…以上!」
プツッと無線を切った男性が後部座席の方を振り返ると――
その顔にはフッ…と苦笑が浮かび…
「さてとそれじゃあ――俺達も出るとするか…
…にしてもお前ホント…
ビックリするくらいラフな格好が似合わねーよなぁ……真壁よ…」
「…神崎さんは程ではないです。」
グレーのニットセーターの上に
限りなく黒に見えるグリーンで厚手のロングジャケットを羽織り…
下はデニムのテーパードスラックスというラフな格好をした仁が
普段ならキッチリとオールバックに決めている前髪を下ろし…
その前髪を少し鬱陶しそうに掻き分けながら神崎の方を見る
すると神崎がニヤけながら口を開き…
「そぉ~かぁ~?
俺ほど“休日の良きお父さん”って感じの格好…なかなか無いと思うが…」
「…休日にパチンコか競輪競馬場に入り浸ってる
やさぐれたオッサンにしか見えないです。」
「フッ…ひっでぇ言われよう…
ま、パチンコと競馬は大好きだからあながち間違ってはねーけど…」
神崎が前に向き直り…
改めて自分の装備品の確認をしてから一つ大きな息を吐き出すと
「よし。」と一言言ってから車から降り…
それに続いて仁も後部座席から外へと降り立つ
「それにしても…
取引場所がオープン初日のショッピングモールとはまた
随分と厄介な場所を選びましたね。」
「…だな。しかしまあ…昔から人が多い場所での取引は珍しくもなかったし…
今回も“操作のかく乱&警察が迂闊に手を出せない”って事を知ってて
あえてこの場所を選んだんだろう…
実際…
今回の捜査はあくまでこの取引に関わった人物の身元と
そこで取引が行われたというゲンニンが目的であって
現逮(げんたい)が目的じゃねーからな…
一般人巻き込むわけにはいかねーし…」
神崎が少し苦々しい表情を浮かべながら禁煙用のガムを一個、口の中に放り込む…
すると仁が辺りを警戒しながら口を開き…
「しかし……本当にヤツは此処に現れるのでしょうか…?」
「さぁな…俺はその可能性は低いと読んでるが…
だが我々がこの場に張っている事を見越して――
あえて陽動として現れる可能性もなくはない…
なんせ殺人の“じゅうさん”であるあの松本 啓一(まつもと たかいち)だからな…
操作かく乱するには十分すぎる人物だろう…」
「………」
ガムをくちゃくちゃ噛みながら神崎が仁の背中をポンポンと叩くと
更に言葉を続ける
「さてとそれじゃあ――ここからはお互い別行動だ。ヘマすんなよ?
お前意外と衝動的に行動する事が多いから不安だわ~…」
「…大丈夫です。」
「ホントか~?ま、俺はとりあえず一階から見て回る事にするわ。じゃあな。」
そう言い残すと神崎は足早にその場から去り…
―――だったら俺は三階から見て回るか…
仁も軽く息を吐き出すと――
ゆっくりとその場から動き出した…
※※※※※※※
「…うそ……でしょ…?」
嬉々としてショッピングモールを訪れていた葵が
二階にある雑貨屋の前で青ざめながら立ち尽くす…
「はぐれちゃった…
片瀬さんと…」
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