アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
演技。
-
※少し残酷表現があります。ご注意ください。
「ハッ…そんなんで俺を脅してるつもりか?」
蟀谷(こめかみ)に銃口を押し付けられている男が嘲るような笑みを浮かべ…
仁に向けてそう吐き捨てると
自らその銃口に自身の額を擦り付け…
「いいぜ撃てよ…
どーせ撃てっこ…「あらぁ~…そんなんじゃダメよぉ~!ダメダメェ~!」
「!?」
「…?」
今まで仁の背後から事の成り行きを見守ってた白井が突然
何故か少し興奮気味に声を上げると、仁の肩に手を置きながら口を開き…
「も~…全然解ってないんだから刑事さんは…
いい?こういったタイプの人間に脅して言う事を聞かせたいのなら――」
白井はゆったりとした動作で這いつくばる男の前にしゃがみ込み…
微笑みながら男の片手をそっと包み込むようにして両手で握ると――
男の掌(てのひら)を優しく揉みながらその指先を伸ばすよう…
徐々に揉む場所を指の付け根に変えていき…
「銃をチラつかせて脅すよりも…
ちゃんと身体で分からせてあげた方が効果的なのよ?
こんな風に…」
やがて白井は広げた男の手から小指だけを一本…グッ…と強く握り込むと
次の瞬間――
コキャッ…という瑞々しいセロリか人参でも折ったかのような音が聞こえ…
「~~~~~ッ!?!?!?ギャッ、」
白井が握っていた男の小指から手を放すと…
男の小指は付け根から上に向って垂直に折れ曲がり…
ソレを見た男は恐怖に目を見開きながら悲鳴を上げようとするが
すかさず白井が男の口を片手で塞ぎ…
「う”-う”ーッ、、う”ぶぅ”---っっ!!!」
「フフッ…あらあらぁ~…ちょ~っと痛かったかな~?ごめんねぇ~?
でも次は……もぉ~っと痛くなるかもよ~…?」
そう言うと白井が今度は男の薬指の付け根辺りをコリコリと意味ありげに揉み始め…
「…今度は――どっちに折り曲げよっか…
上…?下…?あ!こんなのはどう?
第三関節は下で――第二関節は上…第一関節は――」
「う”う”っ!う”ぐう”ぅ”---ッッ!!!」
男は恐怖におののきながら白井に握られている手を引っ込めようともがくが
その手が外れる気配はなく…
「ど~お~…?ちょっとは――こっちのゆーことを聞く気になった…?」
「ッ…、ッ、ッ…、」
男はみっともないくらい涙を流しながら上下に頭を振ると
その様子に満足したのか白井が微笑みながら仁に視線を向け…
「…ね?こーすれば大人しくいう事を聞くようになるでしょう…?」
「………そうだな。」
「…で、さっきの作戦の話しなんだけど…本当にやる気なの…?」
「ああ……おい、お前。」
「ッ、」
白井に未だに口を押さえつけられている男が
ビクッと身体を震わせながら怯えた瞳を仁に向け…
「今からお前に一芝居打ってもらうが…出来るか?」
「ッ…、ッ…、」
男はもう…恐怖で怯えながら頭を必死に縦に振り…
その様子に仁は眉を顰め…若干ウンザリとした様子で溜息を零すと
男のスマホからアドレス帳を開き…
「だったらこの中で――
今バンの中に待機している4人の内の一人に電話をかけ…
出来るだけ鬼気迫った感じでこう伝えるんだ。
『捕まえた奴が逃げ出した。今そっちに向って逃げている。
俺達は動けそうにないからそっちでヤツを捕まえてくれ。』
とな。」
「もし少しでも妙な事を口走ったりしたら…
その時は残りの指ももれなく変な方向に曲がる事になるから気をつけてね…?」
「…ッ!…ッ、…ッぅ…」
男はこれでもかと言わんばかりに首を縦に振り――
「…白井。もうそいつから手を放してもいいぞ。」
「ぷはっ、、うぅ…指が……俺の指がぁ…っ!」
「あーもう……コイツの垂れた鼻水と涎がアタシの手に付いちゃったじゃない…
きったないわねもう…」
「よし、それじゃあ――早速電話を掛けろ。
さっき言った事を忘れずにな。」
そう言って仁は男にスマホを差し出すと、男は震える手でスマホを受け取り…
鼻水を啜りながら震える指先で画面をタップすると
言われた通りアドレス帳に載る誰かに電話をかけ始め――
プルルルル…プルルルル…プツッ、
『大原か…?おい…何時になったら“例の荷物”はこっちに――』
「ッ大変だっ!ヤツが逃げ出したっ!!」
『何っ?!ヤツって言うのは“荷物”の事かっ?!
5人もいて何やってんだよっ!』
「ッすまん…油断してっ、、それより今そっちに向ってヤツが逃げていった…ッ!
俺達全員――ヤツにやられて動けそうにない…っ!
だから頼むっ!そっちでヤツを捕まえてくれッ!!」
『チッ…分かった……後はこっちで何とかしてみる。』
「ッ、頼んだ…、」
男が切羽詰まった感じでそう言い終わると、通話はプツッ…切れ…
「ッ…言われた通りにやったぞ!これでいいか?!」
「…ああ……ナイス演技だった。ご苦労さん…」
そう言って仁はベレッタを持つ手を大きく振り上げると…
そのまま男の後頭部目掛け…グリップ部分を一気に振り下ろし――
「がっ、、ぁ…?」
「…ゆっくり休め。
さてとそれじゃあ――俺もこれから一芝居打つが……白井。」
「分かってるって。――アンタが此処から出てって20秒後くらいに
アタシは外に誰かいないかを確認しながらこっそりとバンに向えばいいんでしょ?」
「その通りだ。
――しくじるなよ?」
「任せなさいって。
貴方も――捕まらないでよ?」
「…善処はする。」
そう言いながら仁はバックヤードの扉の前まで来ると
少し前髪をワシャワシャと崩してから両開きの扉に手をかけ…
「…さて――やるか。」
フー…っと大きく息を吐き出し…
やがて意を決してキッと前を見据えると――
仁は目の前の扉を勢いよくバンッ!!!と開け、外に飛び出していった…
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
168 / 202