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報酬がパーになる事も覚悟のうえで…
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―――仁を連れ去ったヤツが誰か分かったお陰で――
点と線が繋がったな。
「電話相手にそー言えば…力を貸してもらえるんすか?」
「ん?ん~~…確証はないが、恐らくは…
なんせ俺に“仁を護ってくれ”と依頼してきた張本人だしな。
嫌とは言わんだろう…」
信はそう言うと微かに俯き…
―――誠さんが始めっから“誰に狙われているのか”を
俺に正直に話しをしてくれていたら
葵と仁が連れ去られることは―――、ッ、
っいや……今更起きてしまった事を悔やんでいてもしょうがない。
それよりも今は葵と仁を助け出すことに意識を集中しないとな…
その為にも話の要点を少し整理すると、仁を連れ去ったのが御手洗で――
そして“今ちょっとした渦中にいるから仁を護って欲しい”と俺に言ってきたのが
仁の兄である誠さん…
そしてそこから辿り着く答えは
御手洗の本当の目的は誠さんで――
仁はソレに巻き込まれてしまったと…
問題は――
誠さんと御手洗との間に一体どんなトラブルがあったかって事なんだが…
こればっかりは本人たちに聞くしか…
「若…?」
「!あぁすまない…」
「じゃあ…さっきの話しから察するにその“葵(偽)”っていうのは――」
「そ。仁の兄貴って事。」
「……何者なんです?その人…
刑事さんのお兄さんって事はやっぱり警察関係者か何か…」
「――いや、むしろ俺達に近いかもな。」
「っていうと――裏社会繋がり…」
「まあ、そんなとこ。
そこは話せば長くなるから色々と端折るが――
それよりも今は一人でも多くの人手が欲しい…
昇竜会を頼れない以上――
別の所から人手を借りて来るほかないからな。
そこで俺が思い当たったのが仁の兄貴だったって訳だ。」
「へぇ~…」
「って事はそのお兄さんとやらは
それなりの人員を動かせる立場にいる人物って事ですか…?」
「まぁな…」
―――俺の調べた限り……誠さんは例のバウンティーハンター以外にも
いくつかの“非合法なギルド”的なものを運営していると聞く…
その事も踏まえ…
動かせる人員は十分すぎる程確保出来ていると考えていいだろう…
信は若干前かがみだった姿勢からその身を起こし…
一度手首につけたスマートウォッチをチラリと見やると
微かにその眉を顰める…
―――時間が無い…
御手洗と誠さんの関係性が気になるところではあるが――
それよりも今は
“誠さんから提示された例の報酬がパー”になる事も覚悟のうえで
誠さんには協力してもらわないと…
葵と仁…
二人の身に危険が迫っているのだから…!
「それじゃあ――片瀬、白井。」
「「!はい。」」
信は着ていたスーツを軽く整えると
片瀬たちに視線を向けながらその口を開き…
「俺はこれから行きたくもないデートの待ち合わせ場所に向かうとするが――
さっき頼んだ事……忘れんなよ?」
「親父さんにこのスマホを渡して――
書斎にあるパソコンでHôtel désir周辺にあるはずの妨害電波発信機(ジャマー)と
監視カメラの映像を無効化してもらうんでしたっけ?」
「それと16時半ごろに“葵(偽)”に電話する事も忘れずにな。
あと言い忘れてたが
親父が妨害電波発信機(ジャマー)と監視カメラの映像の無効化に成功したら
“葵(偽)”に俺のスマホアプリであるecのデータをインストールしてもらって――
GPSの情報を共有出来るようにしておくよう言っておいてくれ。
スマホは駄目でも指輪とタイピン…
それと上野と坂上のスマホからのGPS反応で後を追えるかもしれないからな。
葵と仁を探すうえでは重要だろう…頼んだぞ。」
「分かりました。」
「…じゃあ俺はそろそろ…」
「…行ってらっしゃいっす若…!」
「理事の言ってた“ショー”とやらが一体何の意味なのかは分かりませんが
兎に角お気をつけて…」
「あぁ…」
そう言うと信は片瀬たちと別れ、車が停めてある駐車場へと向かった…
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