アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ショーへのカウントダウン。
-
「…おっ?ちょっと待って……これは――」
今まで川原倉庫周辺にあると思われるジャマーのありか探っていた稔(みのる)が
突然砂嵐の消えたモニターの画面を見て声を上げ――
―――川原倉庫周辺のジャミングが消えた…?
なんか分かんないけど今がチャンス!!
稔は凄まじい速さでキーボードを操作し始め…
今までジャミングに邪魔されて侵入する事の出来なかった
川原倉庫周辺にある電子機器の一つに侵入すると――
そこからあっという間にお目当てのものを探り当て…
「あった…!」
―――川原倉庫のメインフレーム…!
これさえ押さえる事が出来れば川原倉庫周辺の監視カメラもジャマーも…
なんだったら倉庫内にある電子機器全てを、僕が制御する事が出来る…!
稔は上着のポケットからUSBを取り出すと、ソレをパソコンに差し込む…
すると画面には『実行しますか?』の文字が表示され――
―――今ジャミングが消えてるからといって…
またいつ復活するか分からないからね。
とりあえずコイツだけは僕の手中に収めとかないと…
稔は迷うことなく実行ボタンを押すと
モニターには進行状況を示すプログレスバーが表示され…
それと同時に青いゲージがみるみると進行していき――
「僕特製のトロイの木馬…
気に入ってもらえると良いんだけど…」
稔はモニターを眺めながら満足げに微笑むと、ふと信のスマホに目を向ける…
するとジャミングが消えたおかげか
常に画面に表示していたマップにGPS反応が戻り――
「ッ、これは――葵君のGPS反応…?」
―――川原第四倉庫…
稔がそのGPSを確認した次の瞬間――
再び葵のGPS反応が消え…
「ふむ……どうやらジャミングが復活したっぽいな…
――あっ…そうだ!僕の木馬…!」
稔は慌ててモニターに視線を戻すと――
そこには『完了』の文字が表示されていて…
「っフゥ~……どーやら間に合ったようだね…
後は――この木馬をどう生かすかなんだけど…」
稔がUSBメモリをパソコンから抜き取り…
再び砂嵐に戻ったモニターを見つめながら暫し考え込む
―――今すぐにでも向こうに仕込んだ木馬を実行に移したいところだが――
向こうのジャミングが数秒間とはいえ途切れたという事は
向こうに何らかのトラブルが発生したという事を意味している…
それはつまり今向こうはそのトラブルに対して
何らかの対処を行っている真っ最中あり――
ひいては他の電子機器に異常がないかを入念に探っている最中だという事…
当然――メインフレームの異常なんかも
アンチウィルスソフトなどを使ってスキャンしているに違いない。
そんな状況の中…
折角忍び込ませたトロイの木馬を実行に移すのは余りに危険…
ここは一つ慎重になって…
まずは当初の予定通り相手の動きを探るのが先決か。
だったら――
稔は信のスマホを手に取ると…
葵(偽)に電話をかけ始め――
プルルルル……プルルルル…プツッ、
『…はい。』
「誠君?」
『稔さん?どうかしましたか?』
「それが――頼んでた人員はもう目的地に着いたのかなって…」
『…まだ少し時間がかかりそうですが……何か問題でも?』
「いやなに……実は仁くん達の居場所が分かったから
知らせておこうかなと思って…」
『ッ!それは本当ですか!?』
「ああ…」
稔は先ほどジャミングが途切れた際…
マップ上に表示された葵のGPS反応を思い出し――
「川原第四倉庫……恐らくそこに信や葵君達と共に――
仁君も監禁されているんだと思う。」
『ッ…だったら今すぐにでもそこに突撃して――』
「…まあ待ちなさいって。」
『ッ、』
「逸る気持ちは分かるけど…
現段階では相手の人数や武装が分からない以上――
迂闊な行動は避けるべきだと思うんだ。
ましてや倉庫内の構造が分からない上に
信達を人質に取られている状態でこちらが動けばどうなるか…
それが分からないキミでもないだろう…?」
『………』
「だから当初の予定通り…
キミ達には第四倉庫の様子を外から探ってもらって――」
『…探るといっても…
外からの様子見では限度が…』
「あ!それには心配は及ばないよ。
僕がもう――手は打っておいたから。」
『え…?』
自信満々にそう答える稔に、誠が戸惑いの声を上げる
『手を打ったってどういう…』
「そこは説明するのがメンドクサイから端折るけど…
もう30分くらいしたら僕が川原倉庫周辺のジャマーを停止させ――
キミ達の携帯に倉庫内内部の監視カメラの映像を送るから…
その時にでも信達を助ける計画を立てようじゃないか。
その方がより確実だろう?」
『確かに……内部の映像があればコチラとしても動きやすいですしね。』
「…だろ?」
『分かりました。それじゃあ稔さんがジャマーを停止させる前に――
俺達も川原第四倉庫に向います。』
「ん…頼んだよ。それじゃあ…」
ピッ、と通話を切ると――
稔は少し険しい表情で砂嵐が映るモニターを眺めた…
※ ※ ※
時刻は20時39分…
御手洗がドアの前で暗証番号を打ち終え、部屋に入ると
早速その腫れぼったい口を開き…
「…準主演の調整は済んだのかね?」
「はい!もうバッチリです。
あちらをご覧ください。」
注射器を持った白衣の男性が、部屋に入って来た御手洗を笑顔で出迎えると
壁の方を手で指し示し…
「う”ぅ”ぅ”…の、ぼる…ッ!う”ぐぅ…、う”ぐう”ぅぅ”う”…、」
するとそこには壁に頑丈そうなベルトで両手両足を十字に固定され…
血走った目で御手洗達を睨みつけながら暴れる、上半身裸の男性がおり…
「最初の内は誰彼構わず襲おうとしておりましたが…
ですが今では薬の量を調整し――
“主演のみを襲う”よう…再設定しておきました。
これでショーを滞(とどこお)りなく行えるはずです。」
「…そうですか。それは良かった…
では――」
御手洗はクルっと向きを変えると
その顔に醜い笑みを浮かべ…
「早速その男をコロシアムに連れて行きなさい…
ショーの開幕を宣言しに行きますよ。」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
186 / 201