アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
接触。
-
「…何見てるんです?」
「ん~…?」
誠との通話を切った後…
諸々のデータを自前のノートパソコンに移し終えた稔は――
誠たちと合流する為に川原第四倉庫に向う車の中で…
仕込んで置いたトロイの木馬を起動し
早速ノートパソコンで倉庫内内部の監視カメラの映像をカチカチと切り替えながら
内部の様子を確認している真っ最中で――
「今…これから向かう川原第四倉庫の内部の様子を
監視カメラを通して一通り見て回ってたところなんだけど…
中々厄介だね。この倉庫…」
「――と、言うと?」
車を運転している片瀬が聞き返すと
稔は若干難しい顔をしながら口を開き…
「まずこの倉庫は登記簿上――一階平屋建ての建物って事になってるんだけど…
これ自体が真っ赤な嘘で――
実はこの倉庫…
地上一階、地下六階からなる、かなり複雑な構造をした建物なんよねぇ…」
「地下六階!?」
「そう…地下六階…
しかも何が厄介って、恐らくこの倉庫で最も重要な場所であろう地下六階は
セキュリティーがかなり厳重でね…
僕の腕をもってしても未だに突破が出来ていないんだ…
だからこの地下六階がどういった場所で――
どういった人間がそこにいるのか把握できていない…
監視カメラが使えないからね。実に厄介だよ…」
稔は地下六階を映すはずの真っ黒なパソコン画面を眺めながら苦々しく呟く…
すると助手席に座っていた白井がふと、後部座席に座る稔の方を軽く振り向くと
躊躇いがちにその口を開き…
「…ところで――
その監視カメラの映像に若や葵ちゃんの姿は…」
「…!あぁ……僕も今そこを注意深く探ってはいるんだけど…
今の所2人の姿は何処にも―――ん…?
ちょっと待って……これは――」
パソコンの画面に映し出される監視カメラの映像を
一定の間隔で切り替えながら眺めていた稔がふとその手を止め
食い入るようにパソコンの画面を見つめると、小さく呟き…
「………葵君…?」
「え!?」
パソコン画面に映し出されていたのは、とある一室で――
そこには3人の男達に連れられ…
強引に部屋から連れ出されようとしている葵の姿と
バスローブ姿で床に膝をつき…
そんな葵に手を伸ばす男性の姿が映っていて――
「っやっぱり葵君だ!
コイツ等…葵君を一体何処へ…」
稔がパソコンを操作し
画面を切り替えながら部屋から連れ出された葵の後を追う…
すると男達は葵を連れ、エレベーターに入ると
地下六階のボタンを押し…
「地下六階…」
―――そこには一体何が…
稔がパソコン画面に映る葵をもどかしく思いながら見つめていると
エレベーターのドアが開き…
葵は男達に連れられ――地下六階へと降りていく…
その様子に稔は慌ててパソコンを操作し、葵の後を追おうとするが――
地下六階の監視カメラが使えないため、これ以上は葵を追う事が出来ず…
「クソ…ッ!」
「どうでしかたっ?!葵ちゃんは…」
「ッ駄目だ……見失ったよ…」
「そんな…」
その言葉に車内は一気に落胆の空気に包まれる…
しかし稔がある事に気づき――
「そういえば最後に葵君が居たあの部屋――
あの部屋にもう一人誰か居たよね。確か…
彼に接触する事が出来れば……何か分かるかも…!」
そう呟いた稔が急いで画面をさっきの部屋に戻すと
バスローブ姿の男性がよろけながらその場から立ち上がり…
サイドテーブルの引き出しの中を、何やらごそごそと漁り始め――
―――それにしてもこの男性――
何処かで見た事あるような…
稔はその男性の顔をジィ~…と見つめる…
すると突然稔は「ああっ!」という声を上げ…
「ッ、どうしたんですかっ?!いきなり大声なんかあげて…」
「っそうだ思い出した…
確か彼――」
稔はそう言うと――
困惑する白井と片瀬を余所に
再び凄まじい速さでパソコンを操作しだした…
※ ※ ※
―――確かこの下に――
「ッ…あった!」
サイドテーブルの引き出しの裏側をごそごそと探っていた加納が何かを見つけ
引き出しから手を引き出す…
―――これさえあれば…!
加納が手にしてのは一枚のカードキーで…
―――俺がこの間客からくすねたカードキー…
まだこのカードキーの情報が破棄されていなかったら
この部屋から出る事は可能だ。
だが…
加納は監視カメラから背を向けると
そのカードキーを見つめながら眉を顰め…
―――例えこれを使って部屋の外に出られたとしても…
通路には沢山の監視カメラが設置されている上に
銃を持った警備の奴等だっている…
俺が部屋から出た瞬間――
あっという間に取り押さえられるのがオチだ…
どうする…?
加納はカードキーを持ったまま、しばらく苦い表情でその場に立ち尽くす…
すると――
ブブブブブ……ブブブブブ…
「ッ!?」
サイドテーブルに置かれていた加納のスマホが突然振動しだし――
「…あり得ない…」
加納はそう呟くと、恐る恐るスマホを覗き込む
―――このスマホは確か内線アプリしか使えなかったハズ…
なのに何故…
何で画面に――
“斎賀 信”の名前が表示されたんだよ…!?おかしいだろ…
つかアイツいま此処にいるよなぁっ?!
これからショーに出る予定だよなぁっ!?
「ッ…」
加納は最早わけがわからず…
暫くテーブルの上でちょっとずつ振動で動いていたスマホを眺めていたが――
これでは埒が明かないと思い、思い切って通話ボタンを押してみる…
すると――
『あ!やっと出てくれたぁ~…
あー…もしもし…?もしも~~し!聞こえてるんでしょ~?ねぇ…
無視しないで…ちょぉ~っと電話に出てくれるかな~?』
スマホからはやはり聞き覚えのない男性の声が聞こえ…
加納は益々警戒し――訝し気な顔でスマホの画面を見つめていると
スマホの画面が突然パッと切り替わり…
そこには見覚えのある部屋が映し出され――
―――え……ちょっ、、なに…っ?!
そこに映し出されていたのは、サイドテーブルに置かれたスマホを見つめる
自分の後姿で…
―――コレ……俺か…?!
加納はスマホを手に持ち…監視カメラのある方を振り向く…
するとスマホからまた先ほどの男性の声が聞こえ――
『お!気づいてくれたかな?』
「…アンタ一体――」
『ま、疑問に思うのも無理はないけど――その話は後にしない?
“加納 輝彦”君?』
「ッ!?何で俺の名前…」
『!ちょっと待って今――加納 輝彦って言いました?!』
『えっ……マジで?!加納の兄貴…??』
『ちょっとスマホ貸してください!』
『あっ……コラっ!今話して――』
急に通話先がザワつきだし…
加納が困惑した様子で立ち尽くしていると――
スマホからまた別の男性の声が聞こえ…
『わっ…ホントだ……ホントに加納の兄貴が映ってる…っ!
あっ…アタシです兄貴!白井 和己(しらい かずみ)ですっ!』
「和己!?何でお前が…」
『俺もいるっすよ兄貴!』
「その声はまさか……片瀬かっ?!マジかよ…」
久しぶりに聞いた懐かしい声に…加納は瞳を潤ませ――
思わず泣きそうになる…
するとそこに最初に電話に出た男性の声が聞こえ――
『あー……積もる話もあるだろうけど…そろそろスマホ返してもらえる?
もう余り時間がないんで…』
『あ!すみません……それじゃあ兄貴……また後程…』
『フゥ~…さてとそれじゃあ――
話を聞かせてもらえるかな?加納君…』
「…その前に――アンタ誰だ。」
『…僕?僕は斎賀 稔(さいが みのる)。
信の父親だよ。』
「!信の親父さん?!」
『そう。』
「何で俺の事を知って…」
『う~ん……そこは話せば長くなるから色々と端折るけど…
キミが行方不明になった時に――
信と勝治郎君にキミを探すのに手を貸して欲しいと頼まれて…それで――』
「…?しょうじろうくん…?
だれ…??」
信は兎も角…と付け加えながら、聞き覚えのない名前に加納が首を傾げていると
稔が驚いたように声を上げ――
『えっ…知らないの!?勝治郎君……そんなわけないでしょう…
だってキミんとこのボスだよ?』
「…は?ボス???」
『そう…
第6代目昇竜会組長――
久米 勝治郎(くめ しょうじろう)…
知らないとは言わせないよ?』
「ッ親父が…?
親父と信が――俺を探して…?」
『そうだよ?』
「ッ……親父…!」
加納は感極まり…再び泣きそうになる…
そんな中――稔が申し訳なさそうに口を開き…
『あの~…加納君…
感動してるところ申し訳ないんだけど……いいかな?』
「…ッ!はい……何でしょう…」
『さっきまでこの部屋でキミと一緒にいた少年の事なんだけど…』
そういうと稔は加納のスマホに一枚の写真のを送った…
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
192 / 202