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一筋縄ではいかない…
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―――薬でおかしくなってんだろ…?
だったら――
信が突進してくる仁に向け…
先ずは余裕の先制攻撃と言わんばかりに
その拳を仁の鳩尾に入れようとしたその時…
仁はその姿勢を低くしながら、スッとその攻撃を横に避け――
「なッ!?」
―――なにっ?!
予想外の仁の行動に意表を突かれた信は一瞬理解が追い付かず…
そのまま自分の横にその身を滑り込ませた仁が自分に向け
鋭い肘鉄を繰り出した事に反応が遅れ――
「…ッ!」
―――しまっ、
気づいた時にはもうすで仁の肘鉄は、信の右肩甲骨辺りにめり込んでいて…
「ぐッ、」
信は咄嗟に肘鉄がめり込む方向と同じ方向に上体を逸らし
肘鉄からの衝撃を少しでも和らげようと試みるが間に合わず…
仁からの肘鉄をもろに食らった信は
そのままよろけながら後ろに数歩後退り…
「ッ…、」
―――クッソ、
信が肘鉄を食らった部分を手で押さえながら仁に睨むような視線を向けると
仁は相変わらず獣のような唸り声を上げながら
ゆっくりとその血走った眼差しを信に向け…
「ッ、」
―――薬で理性失くしてるくせに…
攻撃避けたりカウンター仕掛けて来るくらいの判断力はあるのか…
厄介な…
『なにせ貴方は――
彼に勝てたことが無いのですから…』
「チッ…」
―――バカにしやがって…
信は攻撃を食らった右肩をクルクルと回しながら仁との距離をとり…
―――勝ったことくらいあるっつの!
『お前がジークンドーの試合で――俺に勝てた回数。
7勝17敗3引き分け。』
「ッ…うるっせーな……それがどーしたってんだよっ!クソが…っ、」
御手洗に仁と…
立て続けに嫌な言葉を思いだした信は
その苛立ちを振り払うかのようにその場で数回ジャンプすると
仁を見据えながら再びファイティングポーズをとり…
―――何回負けようが勝ちは勝ちだ!
それにさっきのは俺がちょ~っと油断しただけで…
まだ負けたわけじゃない…!
「…来いよ、駄犬…
俺を――抱きたいんだろ…?」
「う”ぁ……うあ”ぁああ”あぁああ”あっっ!!」
「ッ…、」
信の挑発に仁が再び目の色変えて突進し始め…
信は今度はギリギリまで相手を自分の方に引き付けると――
勢いよく自分に伸びて来た仁の腕を躱(かわ)しながら、その腕を両手で掴み…
そのまま勢いに乗せて仁を背負い投げし――
「ッ、舐めるなっ!」
投げ飛ばされた仁は背中から勢いよく地面に叩きつけられるが
すぐにその場から起き上がると
低い唸り声を上げながら信との間合いを詰め始め…
「はっ…、」
―――背負い投げだけじゃ……大したダメージにはなんねーか…
ま、そりゃそーだよな。なんたってアイツ――
警官になってからは柔道も習い始め…
数々の試合に出ては賞を総なめにしたって噂に聞いてたし…
「バケモンが…」
間合いを詰め…
またいつ飛びかかって来てもおかしくない仁を見据えながら
信は汗が滲み始めたその拳を握りしめる
―――かく言う俺はというと――大学に入ってからキックボクシング…
World recoveryが軌道に乗ってからはジムにも通い
それなりに身体を鍛えてはきたが…
それでもここ最近は忙しくて、それらを疎かにしていたし…
何より現役の警察官と俺とじゃ――
力の差が…!
「うがあ”ああぁぁあ”ああぁあっっ!!」
「ッ!」
再び雄たけびを上げながら自分に向けて突進してきた仁に対し
信は再び先ほどの様に往なそうと、ギリギリまで仁を引き付けようとする…
しかし仁は途中で足を止めると
両手を伸ばしながら信に飛びかかって来て――
「ッ!?」
―――マジかよ…っ!?
「クッソ…!」
伸びた仁の手が、信の両肩を掴み…
信は為すすべなく、飛びかかって来た仁にそのまま床に押し倒され――
「がっ、、はッ…、」
カツンッ!と信のかけていた眼鏡はその衝撃で何処かに弾き飛ばされ…
背中を強く打ち付けた信は一瞬呼吸が止まり
目の前の視界がグラグラと揺れ…
―――ッ…マズイ…!
軽い脳震盪で頭痛と吐き気が襲う中…
信は咄嗟にその身を起こそうとするが――
信の上に乗っかる仁が更に強く信の肩を床に押さえつけると
目を見開きながらその顔を信に近づけ…
「の、ぼる……
のぼるのぼるのぼるのぼるのぼるのぼるぅ~…」
「うっ、」
―――こえーってっ!それっ!!
信は自分の両肩を掴む仁の両手首を強く掴み、腹筋に力を入れると
腰に反動をつけながら、勢いよく右足を振り上げ――
「ッ重いんだよ…っ!いい加減退けッッ!!」
「ッ!?」
足を振り上げると同時に掴んでいた仁の手首を力いっぱい肩から引き離す…
すると信の上に乗っていた仁の身体は腰と右太腿に押し出される形で
そのまま投げ飛ばされ――
―――よし。今だ!
信はバッ!とその場から飛び起き、投げ飛ばした仁の方を振り返る…
すると仁は空中で身体を捻り…
まるで猫の様に四つん這いでその場に着地し――
「うわ…、」
―――マジかよ…
ドン引きしている信の目の前で
仁は低い唸り声を上げながら、ゆっくりとその場から立ち上がると…
再び鋭い眼差しで信の方を見つめ…
「ッ…こりゃあ――」
「のぼる……う”ぅぅっ、、のぼる……のぼる…ッ!
うがああ”ぁぁぁああ”あ”あぁぁぁあああッッ!!!」
「一筋縄ではいかなそうだな…」
信がそう呟くと…
仁は再び信めがけて駆け出していた…
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