アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
大物助っ人。
-
「キャアァァァァァァッ!!!」
「何だっ?!何で急に真っ暗に……ショーの演出か…?」
「ッ皆さん落ち着いて…
ショーに支障はありませんから…っ!
おいっ!今すぐ照明を元に戻せっ!!」
急に暗くなった事で辺りは騒然とし…
それに焦った御手洗がガタンッ!と大きな音を立てて椅子から立ち上がると
何も見えない中、近くにいるであろう部下に向けて大声を張り上げ…
―――え…、、なに……何…っ?!
突然真っ暗になった周囲を見渡しながら葵が狼狽える
―――何で急に暗くなったの…?停電…?
暗闇の中で葵は両手で床をペタペタと触りながら慎重に周囲を探る…
すると突然――
何者かの手が葵の手首を掴み…
「ひゃッ…?!」
「シッ!――静かに…」
「ッ………?」
何者かが声を上げようとした葵の口を手で押さえ…
葵はビクビクしながら今自分の正面にいるであろう人物に目を凝らすと
徐々に目が慣れて来た暗闇の中で
薄っすらと確認できたその人物を前に、葵は大きく目を見開き…
「…ッ!」
―――この人…
その人物は御手洗の方を睨みつけながらゆっくりの葵の口から手を離すと――
口に人差し指を当てながら小さな声で呟いた
「…騒がず……ゆっくりと俺の後に着いてくるんだ葵さん。」
「っ貴方は……加納さん…!?
どうやって此処に……それにその恰好は――」
「…その話は後だ。
今は俺を信じて着いて来てくれ。」
「ッ、でも信が…!」
「…その心配には及ばない。
もうじきここに“大物助っ人を寄越す”って信の親父さんが言ってたし…
それに何より今は騒ぎが大きくなる前にキミを此処から連れ出すのが先決だ。
信の為にもな。
分かったら御手洗がコチラに気づいていないうちに一緒に来てくれ…!さぁ…!」
「ッ…分かった…」
ショッピングモールでの事もあり…
迷っている暇は無いと判断した葵は
信の元へと駆け寄りたい気持ちをグッ…と堪え、意を決すると
加納に続いて姿勢を低くしながらその場から離れ…
「何してるんですッ!
早く電気を――」
苛立ちを隠せない御手洗が再び声を張り上げようとしたその時…
消えていた照明が一斉にパッと点灯し始め――
「ッフゥ~…どうやら電気が戻ったようで……何だったんですか?今のは…
――!それよりもショーは…っ、」
御手洗がハッとして信たちのいるステージに目を向けようとするが――
そこでふとある事に気がつき…
「…ッ!?ちょっと待ってください…
此処に居たはずの弟君(おとうとぎみ)は何処ですッ?!」
自分のすぐ隣に座らせていたハズの葵の姿が見当たらず
それに焦った御手洗が辺りをキョロキョロと見渡すと――
自分からかなり離れた位置にある階段のところで
他のパニックを起こした客に混じり…
黒いスーツの男に手を引かれながら階段を駆け上ろうとする
薄紫色のベビードールを着た長身の人物を見つけ――
「ッ、弟君ッ!何処に行く気ですかっ?!すぐに戻ってきなさいッ!!
オイお前達っ!今すぐあの子を連れ戻せッ!!」
「ハッ!」
「ッやっべ見つかったっ!?走るぞ葵さん!」
「はっ…はいっ!」
客に紛れて人数までは把握しきれていないが
自分たちに向って黒服の男達が数人走ってきているのが見え
加納は葵の手を引いてその場から駆け出し…
「ッ!?」
―――アイツはまさか……加納っ?!何でこんなところに…
いや、今はそんな事より…
「絶対に逃がすんじゃねぇぞっ!
特に加納っ!!
ソイツだけは絶対に逃がすなっ!」
―――もしアイツが此処から逃げ出したりしたら…
今まで私がしてきたことが親父にバレる可能性が――
「くッ…、それだけは何としてでも避けねば…っ!」
御手洗が苦渋の表情を浮かべながら懐からスマホを取り出し…
焦った様子で何処かに電話を掛けようとしたその時
例の悪趣味な両開きの扉がバタンッッ!!!と大きな音を立てながら
盛大に開き――
「…なんでぇ……
随分と面白そうな事をやってるじゃねぇか……
なぁ…?御手洗?」
「ッ…貴方は…!」
御手洗が驚愕の表情を浮かべながら扉の方を見上げると…
そこには濃い藍色の着流しの上に若葉色の長羽織を羽織った長身の男性が
背筋をピンと伸ばし…
いなせな感じに腕を組んで立っていて――
「…俺も――混ぜてもらおうじゃねぇか…
このショーとやらに…」
「ッ親父…!何で此処に…ッ、」
御手洗が真っ青になりながらそう呟いた瞬間――
御手洗はその巨体からは考えられない速さでその場から逃げ出していた…
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
198 / 202