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⑹恵次サイド
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「お帰り‼︎兄さん‼︎」
あの子涼佑が俺を出迎えてくれた。
毎日の光景であるのに涼佑がドアの前で俺が帰ってくるのを待っていたと思うとやっぱり嬉しさが込み上げてくる。
「ただいま、涼佑」
涼佑の黒くて柔らかい髪を優しく撫でる。
そうすると涼佑は目を細めてまるで猫のように俺の手に擦り寄ってくる。
相変わらず俺の弟は可愛い。
「涼佑すぐご飯作るから待っててな」
そう俺はいい涼佑の頭から手を離す。
すると涼佑は少し寂しがりながらも移動する俺の後ろを歩いてくる。
いつもと変わらぬ日常。
でもその生活を送れることに俺は感謝している。
俺が今まで必死に繋ぎ止めてきた大切な宝物。
たとえ誰であろうともこの生活を壊すことはさせない。
涼佑は学校であった話を身振り手振りをしながら必死に俺に伝えようとする。
ああ、愛おしい。
この子を守れるのは俺だけだ。
俺しかいないのだ。
だから俺がどうなろうとも愛おしいこの子を守れるのだ。
涼佑にご飯を食べさせお風呂に入らせたら俺はまたバイトに出かけた。
徒歩5分で着く焼肉兼居酒屋のお店で俺は雇わせてもらっている。
未成年がこんな夜遅くまで働くのはいけないことだが店長が俺の事情を聞いたら泣きながら許可を出してくれた。
俺は優しい人たちに恵まれている。
地元の人達が集う場所なので良く声をかけてくれたり貰い物を貰ったりしてとてもありがたい。
ここでは7時半から12時まで働かせてもらっている。
流石に最初はキツかったが慣れればそう思わなくなった。
需給は千三百円でとてもありがたい。
涼佑はあと二年したら中学生だ。
中学生になったら部活もそうだし学費も高くなる。
少しでも貯金できるように無理してでも働かなければ。
酔っ払いに巻き込まれながらもなんとかバイトは終わり無事に上がらせてもらった。
店長に挨拶を済ませ俺は走って家に帰る。
家の前に着いたら涼佑が起きないように静かに鍵を刺しドアを開けた。
寝室を開けると涼佑が気持ちよさそうに眠りについている。
俺は静かに涼佑に近づき頭を撫でる。
「、、、涼佑いつも我慢ばっかさせてごめんな。
にいちゃん頑張る涼佑の為に頑張るからな」
と呟きながら優しく涼佑の頭を撫で続ける。
少し時間が経ったら静かに寝室から離れリビングへと向かう。
そこで生徒会の書類を開いて作業を始める。
静かな部屋の中で紙が擦れる音が只々響く。
ある程度終わった頃には深夜の一時を過ぎていた。
五時からは新聞配達がある為早く睡眠を取ろうと思い俺は寝室へと向かう。
涼佑の隣に寝転がり涼佑の頭を撫でながら俺は眠りについた。
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