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⑺恵次サイド 過去
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夢を見た。
昔の夢だ。
俺たちを捨てたクソみたいな両親の夢。
俺たちの両親は駆け落ちをし逃げてきたらしい。
親父は王手企業の跡継ぎで母さんは親父の屋敷の使用人。
自分の親の跡を継ぎたくなかった親父が母さんと一緒に駆け落ちした。
最初は幸せだった。
お互い鎖みたいに繋がれていたしがらみが取れたような気分で自由を手に入れたと思ったらしい。
だけど現実はそんなに甘くなかった。
今までなんの苦労もしないで生活していた親父にとっては庶民の生活、価値観、常識、何もかもが違っていたんだ。
親父はそのことに気づくと一気に暴走した。
「思っていた生活と全く違う‼︎なんでなんだ‼︎俺はせっかく自由になったのになんでこんな思いをしなければならないんだ‼︎こんなの聞いてない‼︎おかしいだろ‼︎」
親父はあれに荒れた。
母さんもそんな親父を最初は支えようとしていた。
でも仕事に家事俺らの面倒にヒステリックな親父。
次第に母さんも疲れてしまいその捌け口か不倫をするようになった。
母さんにとっては家事や俺たちのこと親父の事も全て忘れて自分をただ一人の女として見てくれる相手との時間を幸福に感じていたんだろう。
母さんが不倫をする回数も次第に増えついには俺が中学三年生になった時ポツリと家から姿を消していた。
机には紙が一つ
「私を幸せにしてくれるという人ができました。
私を必要だと言ってくれる。
私に愛してるって言ってくれる人が。
その人と暮らします。
私にはあなたたちは重りでしかない。
あなたたちといる限り私は幸せになれない。
私は私が幸せになる為にあなたたちを捨てます。」
それを読んだ親父壊れたかのように暴れまくっていた。
家にあるもの全てを壁に投げつけ泣き喚いていた。
俺は幼い涼佑を守るのに必死で涼佑を抱えて家から飛び出した。
あのままあそこにいたら殺される。
本気でそう思った。
だから親父の頭が冷えるまで親父から離れようと思った。
4時間くらい経ってそろそろ様子を見に行こうと思い涼佑と家に帰った。
ドアの前に立って音がしないか確認した。
家からは音ひとつしなかった。
一応何かあった時のために涼佑を家に入れないで外で待っているようにと伝えた。
涼佑は俺のいうことをしっかりと聞いて外で待っていた。
俺はそれを確認しゆっくりと部屋に入っていった。
床には投げて壊れた皿の破片やボコボコにされた冷蔵庫置いてあるもの全て落としたのだろうかというほど散乱していた。
やっとの思いでリビングに着いたときに俺は目を失うような光景を前にした。
親父が首を吊って死んでいたのだ。
目を開いたまま青白く肌を変色させ天井から吊るされていだ。
俺はあまりの驚きに体を動かすことができなかった。
何もできずただぼーと突っ立っている。
その時だった
「にいにー!!」
と外から涼佑の声が聞こえてきた。
その声で俺はやっと鉄のように重たく感じた体を動かすことができた。
涼佑にはこんなもの見せられない。
そう思った俺は急いで救急車に連絡を入れ涼佑を抱きながら外で待っていた。
駆けつけた人達は部屋の惨状と親父を見ながら絶句していた。
それからはあまり覚えていない。
ただ俺は施設に入らないで一人で涼佑を育てると大人の人と口論になった事くらいしか覚えていなかった。
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