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(12)恵次サイド
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「兄さん」
静かになった会議室で弟の涼佑の声が響く。
なんで。なんで涼佑がここへ。
考えるより先に声が出る。
「涼佑どうしてここに」
あたりがざわつき始める。
「これ」
といい涼佑はバックの中を漁っている。
バックの中からは俺が忘れてしまった書類が入ってある封筒が出てきた。
もしかして、
「兄さん昨日寝ないでこれ片付けてたでしょ?
封筒のプリントの提出の日が今日だったから。
兄さんが困ってないか心配で 」
そういうと涼佑は顔を下に下げてしまった。
もしかしたら迷惑じゃないかと思ったのか中々俺に目を合わせてくれない。
なんだか初めてのおつかいの気分だ。
涼佑が俺を心配してここまで来てくれた。
そう思うと今までとは比ではないほど心が温かくなる。
嬉しい。とても嬉しい。
下を向いたままの涼佑と同じ目線になれるように俺は低く屈んだ。
涼佑がビクッと肩を揺らした。
「涼佑」
俺は優しく涼佑を呼ぶ。
すると涼佑は俺に目線を合わせた。
俺はそんな涼佑に笑いかけながら言う。
「涼佑 本当にありがとう。
にいちゃんな、この書類がなくてとっっても困ってたん
だ。
涼佑のおかげでにいちゃんすっごく助かった。
涼佑にいちゃんの為にありがとな!!」
不安そうな顔をしている涼佑を抱きしめて優しい頭を撫でる。
涼佑は安堵したのか肩の力をが抜け俺の背中に腕を伸ばし抱きついてきた。
「涼佑 にいちゃんまだやることがあるんだ。
にいちゃんが終わるまで生徒会室で待ってることできる
か? 」
と俺は涼佑に撫でながら言う。
すると涼佑はコクンと頷き俺の服を掴んだ。
「??」
俺が困惑していると涼佑は
「今日ハンバーグがいい」
と普段言わないようなことを言う。
可愛いな。このやろう。
「わかった。ハンバーグだな。
美味いの作ってやるからいい子に待ってろよ」
俺はそう言うと涼佑を連れてきた風紀の副委員長に涼佑を生徒会室に連れていくように指示する。
まだ不安そうな涼佑に俺は笑顔で手を振る。
すると涼佑は安心したのか俺に手を振って風紀についていく。
俺は南条に向き合う。
南条は何に驚いたのか固まっている。
周りの奴らも同じ反応だった。
俺はお構いなしに涼佑が持ってきてくれた書類を南条に押し付けた。
「遅くなって悪かった」
俺はそう言い捨てると自分の席に戻る。
すると南条はハッとしながら急いで俺が渡した書類に目を通した。
「全てやってある」
呆然と南条がつぶやく。
「当たり前だろ」
と俺がそう言うと周りがざわつき始めた。
俺はお構いなし声を出す。
「他に意見があるものはいるか?
いないな。
これにて会議を終了する。各自解散 」
俺は会議を終わらせ部屋から出ようとする。
すると南条に手を掴まれる。
「なんだ」
「、、、、さっきの発言はすまなかった」
急に南条に謝罪される。
なんだこいつ。頭打ったのか??
「別にいい。」
「、、、」
「赤峰、お前の弟が言ってたこと本当なのか?」
南条が俺に問いかけた。
徹夜のことか。
「忘れろ」
俺はそう言うと会議室から出て行った。
「忘れることなんてできるかよ」
とつぶやく南条の声は俺には届かなかった。
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