アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
(22)恵次サイド
-
南条と仲町が生徒会室にくるようになってから格段に仕事の効率が上がった。
睡眠も前よりは少しとれるようになり不調だったこの体を少し労ってやる時間が増えかなり助かっている。
仲町は休日に涼佑の面倒を見にきてくれ涼佑もすごく喜んでいた。
毎回来る度に高いお菓子を持ってくるのはやめて欲しいが結局仲町の好意に甘えてしまう。
こっちはこっちで手作りお菓子返しをするため一向にお菓子の渡し合いが終わらない。
なんとも微笑ましい光景だろう。
バイトの方もなんら問題もなくとても平和な日常を送っている。
まぁ、問題児たちは当然のように騒ぎまくっているが。
変化があるとすれば一般生徒達が生徒会をリコールしようと動き始めたことくらいだろう。
親衛隊の奴らはまだしも一般生徒からしたらこの上ない迷惑だからな。
正直与えられた仕事もろくにしない奴らなんかリコールされて当然なのだが。
俺もその対象なのは例外ではないのだが。
まぁ、仕方ない。
最悪リコールされても成績だけキープしていれば支援金も貰えるし生徒会に割いていた時間もバイトに費やせる。
どちらに転んだとしても別に俺にはさほど悪くないため正直言ってリコールされる身としてあまり感じるものがない
深く考えてみればもういっそのことリコールされた方が楽になるのではないか????
バイトの時間も増えるし勉強へも集中できる。
何より愛しの弟との時間が確実に増える。
俺が生徒会長としているメリットの方が少ないとすら感じる始末だ。
「これも一つの手だな」
「何が一つの手なんだ????」
「、、、南条」
俺の小さな呟きを近くにいた南条が聞き拾った。
「いや、大したことじゃなねーよ」
「そう言われると尚更気になるだろ」
「マジで大したことじゃねーから」
南条はよほど俺の考えている事に気になっているのかぐいぐいと寄ってくる。
俺はそんな南条を軽くあしらい作業を終わらせていく。
俺だけで静かだった生徒会室も今や仲町や冨和その多風紀の奴らにより以前と同じような賑やかさも感じる。
結局あいつらは仕事もせず学園内で大騒ぎしているが。
もう何も期待してない俺にはあいつらの行動一つ一つが虫の戯れのようにしか見えないのだが。
「そういえばもう体育祭前日ですね」
実感が湧かないなどと呟く仲町の言葉に思わず我にかえる
こんなんで果たして大丈夫なのかと自分自身に問いかけそうになる。
全く実感が湧かない。
「あいつらが問題事を起こさなければいいんだがな」
「「冨和(委員長)、それフラグ/です」」
「すまない」
すごく不安になってきた。
何か起こることはもはや決定事項並みなのだがその被害がどれくらいなのかというところが重要だからな。
明日がこれほど来てほしくないと思うことはないだろう。
一般生徒達のリコール活動も目立ち始めあまつさえ生徒会アンチなども浮き出てきた。
俺としては別に構わないのだが問題児どもはどうやら周りがお気に召さないのかギャーギャーと騒ぎ立てている。
行動がもはや小学生以下。
一緒に生徒会をしていた身として恥ずかしいばかりだ。
「とりあえず何が起こった時の対応を各委員長達で十分に確認し合うしかないんじゃないか?」
「備えあるのみってやつか??」
「実際できる事といえば確認と呼びかけくらいですからね」
実際俺たちができることには限りがあるとはわかってはいたが改めて現実を突きつけられるとかなり気苦しいものだな。
「あいつらに直接指摘するのはまずいか??」
「逆にキレそうだよな、あいつら」
「指摘したら指摘したで何様だと言うスタンスですからね、あの人達は、、」
だよな。
「ハァー」
ため息しか出ない。どう転がろうが面倒ごとしか起きないことが紛れもない事実なのだ。
諦めて受け入れるのが最善なのだろう。
だが俺は決してそんな事を認めたくないし時間を割きたくない。
自分達の私情で年に一回の学園一大イベントをダメにされるなんて言語道断だ。
人としてもうそんな奴アウトだ。
まぁーあんな金持ち野郎どもには理解できない話だろうがな。
それでもこのイベントを楽しみにしていた生徒達がいるのだから会長である俺には当然守るべき義務が生まれる。
というかあいつらみたいなクソマリモに好き勝手なんかさせるか。
「絶対守り抜いて見せる」
俺がどう呟くと南条はそうだなと静かに呟いた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
26 / 29