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しまった、と思った。
夕方、「忘れろ」つってやったのはオレなのに。
急いで強く抱き締めてやりながら、「ごめん、悪ぃ」と耳元で謝る。
モンスターを相手にする以上、一瞬の躊躇で命取りになるって話は珍しくねぇ。でも、反射的に体が動くよう訓練する剣術と、魔術とは条件が違うと思う。
だってオレ達剣士は、剣を抜いて立ち向かうしかねぇ。
けど、魔法は……どの魔法を使うかとか、瞬時に判断し、呪文を唱えて実行しなきゃならねぇ。何にでも「ファイヤーボール」じゃダメなんだ。
剣術の反射ですら、相当の訓練が必要だってのに。魔法の反射を身に付けるには、一体どんだけ修行が必要なんだ?
オレは、そんなのミーハに求めてねぇし。これからも求めねぇと思う。
だって、オレ達はチームだ。
ミーハの魔法にタイムロスがあるなら、オレがその間、守ってやればいい。
足りねぇ分は、互いに補い合えりゃいい。
そう言ってやると、ミーハはオレに縋りついて、「怖い」と震えた。
「あ、あ、アル君が、オレのせいで怪我、するの、怖い」
って。そんなの杞憂に過ぎんだろ。
「オレは怪我しねーよ。お前も、もう失敗しねぇ。お前は、昔のお前とは違うんだ」
オレはミーハを抱き締め、顔中にいっぱいキスをした。
唇にも、胸元にも。
頭を撫でて、背中を撫でて、キスの雨を降らせながら服を脱がせた。
オレの腕の中で、オレを感じて、安心して眠って欲しかった。
何でミーハが、モンスターに容赦しねーのか。容赦できねーのか。何となく、分かったような気がした。
「アル、君。アル、君……」
白い細い腕が泣き声と共に、オレの首元に絡みつく。冷んやりとしたすべらかな肌が、たまらなく気持ちイイ。
引き寄せられるまま、誘われるように唇を重ねて舌を絡める。
ひく、ひく、と嗚咽のちょっとだけ混じった息が、オレの愛撫でゆっくりと甘く、荒くなった。
手のひらで胸をまさぐる。
敏感な乳首をかすめるように撫でさすると、たちまちコリッと尖って来た。ビクッと背中が震えんのが可愛い。
普段は前戯をたっぷりめにして、トロトロのぐにゃぐにゃに溶けるまで可愛がんのが好きだけど。明日は蛇塚だし、立てねぇくらいまでグズグズにする訳にもいかねぇ。
「ミーハ、挿れるぞ」
性急にほぐした穴に、オレのをあてがってそっと訊くと、ミーハはこくこくと幼い仕草でうなずいた。
ゆっくりと腰を沈める。
「ふああ」
ミーハが目を開けて、ゆっくりと貫かれる感触に背を反らした。
案外、善かったようだ。
「あああ、ふああ、あああーっ」
高い善がり声を上げながら、最奥にオレのが届くまで、ミーハの全身が弓なりに反った。
足の指まで、きゅうっと丸められている。
「イッた?」
意地悪く訊いても、返事する余裕もねーらしい。射精もなく、空イキさせられたんだから仕方ねーか。
いや、オレのせいじゃねーけど。多分。
「まだ挿れただけだぞ」
動いてすらいねーっつの。
でも、感じてくれて嬉しい。ふふっと笑みがこぼれる。
切なそうに寄せられた眉間のしわが可愛くて、ちゅっとそこにキスを落とす。
組み伏せた少年の体がひくひくと小さく痙攣した後、波が引くように弛緩するのを待ってから、オレはゆっくりと動き始めた。
「あっ、あっ、アル君、好き……」
ミーハがうめくようにオレを呼んで、オレの首にしがみつく。
応える代りに口接けると、貪るように舌を吸われた。
まったく、気持ちイイことに貪欲なヤツだ。
「アル君、アル君」
オレの下で身悶えながら、ますます強く縋り付くミーハは、オレの背中に爪痕を残した。
ゆっくりが好きなのは分かったけど、そんな風に可愛くされたら、もうなんか、たまんなくて。
「くそっ、好きだ!」
オレは一声宣言して、そっからは無茶苦茶に突き上げた。
優しくはできなかったけど、うなされずにぐっすり眠ってくれたし。朝には震えも止まってたから、気分転換にはなれたと思う。
この調子で魔法も、怖がらずに使えたらいーけどな。
つーか、腰、大丈夫か?
「おはよ、ミーハ」
起き抜けの頬にキスすると、ミーハは「おは、よう」と照れ笑いを浮かべた。
それはいつもの笑顔だった。
出発の直前、仲介屋の店の前で依頼人と対面した。
依頼人は背の高い派手な金髪の男で、オレ達の顔を見るなり目を丸くして言った。
「あれ、ミーハ? ミーハじゃねーの? 久し振りだなぁ。覚えてねぇ? オレ、ハマー!」
ハマー? ミーハって……昔の知り合いか?
夜に言ってた、記憶の中の「背の高い誰か」か?
けど、いきなり名乗られたって、そんな都合よくは思い出せねーみてーで、ミーハはオレの背中に隠れちまった。
相変わらずの人見知りだ。
「すいません。こいつ、記憶を失くしちまってるんです。ミーハって名前だっていう自覚はあるらしーんですけど、実感も自信もねーらしくって」
オレがそう言うと、ハマーと名乗った依頼人は気まずそうに苦笑した。
「そ、そっかぁ……。いや、オレも会ったの8年ぶりぐらいだし、人違いかも知れねーんだけどさ」
「8年ですか……」
それはちょっと長過ぎだろ。
つーか、8年前つったら、何歳の時だ?
「じゃあ幼馴染、ってヤツですか?」
訊きながら、胸の奥がチリッとする。
オレの知らねーミーハのことを、この男は知ってんだ――そう思うと、なんか落ち着かねぇ気分だ。
タオならこんなオレを見て、「独占欲強ぇなー」って笑うんだろうか?
「とにかく、今日はよろしくな」
ハマーは快活に言って、オレ達に手を差し出した。
握った手は、温かかった。
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