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94 (R15)
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「まずは着替えを」なんて、落ち着いた言葉は出なかった。
わんわん泣くミーハを宥めながら、濡れたローブを脱がしていく。固く握り締めてた杖を外させると、それはカランと音を立てて、家の床に転がった。
夢にまで見たミーハの肌は、相変わらず白くて細くて、甘いニオイを放ってる。
ぼろぼろこぼれる涙は熱いのに、滝壺に落ちただろう体は冷たい。
まず風呂に。いや、その前に湯を沸かさねーと。
水は。湯は。
考えが散らかって、いつもみてーに行動できねぇ。多分混乱してんだろうって自分でも思う。けど、どうやったら冷静になれんのか分かんねぇ。
「ミーハ」
冷えた背中を抱き寄せると、震える声で「寒、い」って言われた。
「も、も、もう、離れたくない、よ。アル、君っ」
縋るような言葉に、「ああ」と答える。
「忘れたく、ない」
「ああ」
短く深く口接けて、甘い唾液を甘受する。
「わっ、忘れなく、させ、てっ」
しゃくり上げながらの言葉。次から次へと溢れる涙。上目遣いの瞳は赤く濡れてて、オレをまっすぐに見つめてる。求めてる。
そんな風に縋られて、理性のタガが外れねぇ訳がなかった。
オレだって、ミーハをずっと求めてた。
もう離したくねぇ。
愛してる。
杖を放した細い手が、オレの服をくいっと掴む。その手首にはオレが2度贈った「恋人の証」が光ってて、愛おしさに胸が震えた。
ロックドラゴンのこととか、残して来た仲間とか、タオやルナ、ハマー(馬)のこととか、全部が頭から吹き飛んだ。
戻らねーといけねーのは分かってる。けど、今はミーハのことしか考えられねぇ。
昨日1人で眠ったベッドに、ミーハを押し倒して乗り上げる。
ミーハの肌はやっぱ冷たくて、けど、ベッドに横たわりながらオレを見上げるミーハは、すげー嬉しそうに泣き笑いを浮かべてた。
寒いって言うんなら、オレが温めてやりゃあイイ。
風呂のことも、湯のことも、選ぶべき選択肢からすぐに外れる。
こんなことしてる場合じゃねーって、分かってんのに止められねぇ。ミーハが欲しい。そんでミーハも求めてる。
「アル、君」
裸の肌に手のひらを這わすと、ミーハがオレの服を引いた。
「オレ、も、触れ、たい」
その声はまだちょっと涙声で、嗚咽の震えが残ってたけど、オレにはとんでもなく甘く聞こえた。
求められるまま服を脱ぎ、剣帯を外し、ズボンもブーツも脱ぎ捨てる。ミーハのブーツも何もかも取り去り、2人、生まれたまんまの姿に戻る。
部屋は明るかったけど、ミーハが恥ずかしがることはなかった。
「アル君、アル君……」
上ずった声で何度もオレを呼び、オレの背中に腕を回す。
「オレ、なんで忘れ、てたんだろう」
「さーな」
「な、なんで平気、だったんだ、ろう」
白い頬を伝う涙を、舌で舐め取ってキスを落とす。
もっと触れてぇ。もっと撫でて、全身を確かめてぇ。頬に首筋に舌を合わせ、濡れた髪を掻き上げる。
細い肩を愛撫しながら深く口接け、「んむ」ってうめくのを耳にする。
久々のキスは、なんだかちょっとぎこちない。けど、舌を絡め合ううちに照れも忘れて、愛おしさだけがよみがえる。
オレと同様、ミーハの股間もいつの間にか、キレイな色のまま昂ぶってた。
「さ、触って」
上ずった声で願われて、ミーハを抱き起し、2人分の熱を合わせる。2本まとめて手のひらで包むと、ミーハがオレに抱き着いた。
「は、ああっ」
甘く高い声が耳に響き、たまんねぇ思いが湧き上がる。上下する手が自然に早くなり、快感にうめいた。
「はっ、ミーハ」
「んんっ、ああっ」
ぎゅうっと首元に縋られると、余計に煽られるのはいつものことだ。そう、いつものことだった。
いや、前の方が余裕なかったかも。そう思うと、ちょっとおかしい。おかしくて懐かしくて、泣きたくなる程愛おしい。
「出るっ、アル君っ」
泣きそうな声でミーハが言った。同時にオレも射精して、手のひらの中に2人分の白濁が飛び散る。
互いに顔を合わせ、照れ笑いしながらキスを交わして、ミーハを再びベッドに寝かせる。
精液にまみれた指を、押し広げた脚の間に這わせると、ミーハが細い腰をびくりと浮かせて、「んっ」と上擦った声を上げた。
当たり前だけど、ピンクベージュのつぼみは固く閉じてしまってた。
そこに舌を這わせ、精液で濡れたままの指をつぷりと埋める。
「んあ、やああ」
ちっとも嫌がってるように聞こえねぇ嬌声。
オレを迎え入れるよう白い脚が開かれて、色付いた秘所を見せつけてる。
指でつぼみを咲かせながら、左手で腹や太ももを撫で、白く小振りな尻を掴む。
1度射精して冷静になった頭が、恋人の痴態を前に、再び熱さを取り戻す。
抱きてぇって欲望を、もう鎮めることは無理だ。
「あ、んんっ、指、がっ」
デカい目をぎゅっと閉じ、ミーハが甘い声を漏らす。
「指が何?」
「指、が、入って……アル君、アル君っ」
オレの名前を繰り返し繰り返し、またぽろりと涙するミーハ。
「イヤか?」っつったらぶんぶんと首を振り、「早く」って逆に訴えられる。
「オレ、オレ、夢に、見た。あ、アル君、と、こうするの」
とつとつと告げられる言葉に、じんと胸が熱くなる。
「ゆ、夢じゃなか、った」
「ああ」
短く答えながら、涙が滲む目をぬぐう。
ミーハがどんな夢を見たのか、それを見て何を思ったのか、オレには今は知りようがねぇ。いつかゆっくり聞き出す日が来るかも知れねーけど、今はそんな余裕ねぇ。
けど、嬉しかった。
ミーハの不在でぽっかり空いてた心の穴が、じわじわ熱いモノで埋まってく。
ホントに忘れられてた訳じゃねーんだって。記憶を失くしても、失くならねぇモノはあるんだって、それが分かっただけで嬉しい。
片思いじゃなくて嬉しい。
「好きだ、ミーハ」
穴を拓く指を増やし、「んっ」とうめく声を聞く。
「オレ、も。好き、アル君」
腕を伸ばして求められ、引き寄せられるままキスを交わす。ミーハの唾液も吐息も記憶より甘くて、キスはもっと気持ちよかった。
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