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「どうしたのさ吸血鬼の旦那。そんな血相変えて」
「ロキか! どうしたもこうしたも……ああ、くそ!」
「もしかしなくてもヴィンセント様絡み?」
「そうだ。恐れていたXデーがついに来てしまったんだ。とにかく幹部魔族に通達してくれ。緊急召集だ」
*********
「ーーもう一度言ってくれブラッドリー。ヴィンセント様が恋に落ちてしまって、その相手が?」
「新人勇者」
「はぁーー……」
迎えの席で盛大なため息をつくヴァルーア。彼も幹部魔族の一人であり、名実ともに魔界の五本指には入る男だ。
「勇者……勇者なのか、よりによって。何かの間違いではないのか」
「だから確定事項だとさっきから言っている」
同様の質問はすでに5回目である。それほどまでに受け入れがたい事実なのだろう。
「ブラッドリー、お前はあの方の側近の立場にあっただろう。もっと早くに気づけたのではないのか」
「知ってはいたが、すでに手遅れだった」
俺の隣りでは淫魔のロキもうんうんと頷いている。
「してヴィンセント様本人は今どこにいらっしゃるのだ」
「お部屋だよ。たぶん花占いに興じてると思う。部屋から『好き、嫌い、好き、嫌い』って聞こえてきてるし」
あっさり言い切るロキの口調からは、あまり深刻さは感じられない。魔族側についてから日が浅いから仕方のないことなのだが。
「その、相手の勇者とやらがどこの誰かは分かっているんだろうな?」
「名をカイルという。齢17。グレイル国の中の辺境の地出身」
「グレイル……といえば戦乱真っ只中の領土ではないか」
「そうだ。カイル本人も幼い頃から傭兵団に参加している」
勇カレにおけるカイルの存在が今になって浮上したのも頷ける。カイルは2年前確かに勇カレに入っているのだが、その後すぐに勃発した戦争に参加するため休学していた。昨日が初対面になってしまったのも無理はない。
「それで、カイルの身柄は確保してあるのか」
「いや、まだだ。今日明日中にはここに連れてくる算段になっている」
「ならいいが。こんなこと明るみに出れば魔界に激震が走るのは間違いない」
ヴァルーアは少し前の俺と全くの同意見のようだ。
「捕らえ次第、早急に消せ」
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