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第2章 Frustrating Feeling7
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智樹の状態が落ち着いてることを確認してから寝室のドアを閉めた。
リビングに入ると、いつもなら智樹が立っている筈のキッチンで、和人が鼻歌を歌いながら料理をする姿が目に入る。
妖艶さと、何より類い稀なダンステクニックで魅せる智樹とはまた違った、可愛らしくも小悪魔的な魅力が売りの和人……
和人目当ての客が多いのも頷ける。
和人さえイエスと言ってくれれば、うちの専属にしたいところだが、それもなかなかどうして首を縦に振ってくれないから困ったもんだ。
「簡単な物しか作れませんでしたけど……」
そう言って和人がテーブルに乗せたのは、おそらく有り合わせの野菜で作ったであろう野菜炒めで、簡単という割には見た目も悪くないし、匂いだって十分食欲をそそる。
「ご飯は冷凍庫に入ってたのチンしましたけど、良かったですか?」
「ああ、構わねぇよ」
つか、智樹の奴、そんなモンまで……
智樹と暮らし始めてもう何年も経つのに、そんなことも知らなかった自分に呆れる。
「食べましょ?」
「お、おお……。頂きます」
俺は茶碗と箸を手に、空腹を訴える腹に野菜炒めを掻き込んだ。
「うまっ……」
「マジで? 良かった」
お世辞でもなんでもなく、和人の作った野菜炒めは本当に美味くて……
大き目の皿に山盛りあった筈の野菜炒めは、ものの数分でその大半が俺の胃袋へと消えて行った。
「あ、ねえ……、支配人が智と初めて会ったのも、こんな雨の日だったんでしょ?」
キャベツをチマチマ箸で摘みながら、和人が思い出したように窓の外に視線を向けた。
そうだ……
あの日も確か今日と同じ、叩きつけるような雨が降っていた……
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