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第3章 Collaboration 9
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支度を済ませた智樹と一緒に、翔真さんの車の後部シートに乗り込んだ俺は、最終確認とばかりに智樹の額に手を触れた。
うん、熱はない。
「ところで…、リハの時間そう多く取れねぇけど、大丈夫なのか?」
バックミラー越しにサングラスをかけた翔真さんの視線が俺達に向けられる。
常に完璧を求める翔真さんだから、それが例えば付け焼き刃であったとしても、ステージに立つ以上手抜きは許されない。
それは分かってるんだけどな……
大丈夫か……、と問われれば、胸張って“大丈夫”って言える程の自信は……俺にはない。
俺は返事に困った挙句、隣の智樹の肘を小突き、翔真さんに気付かれないように救いを求めた。
すると智樹は小さくは息を吐いてから、
「大丈夫なんじゃね……?」
と、さも面倒臭そうに呟いたきり、顔ごと視線を窓の外に向けてしまった。
そして翔真さんも、
「智樹がそう言うなら心配することはなさそうだな」
そう言って濃い色のサングラスの向こうで目を細めた。
智樹に対する絶対的な信頼…なんだろうな。
尤も、そうじゃなかったら、俺が一緒に踊りたい、って言った時だって、あっさり許可したりはしないか。
「あ、でね相談なんだけど、曲と衣装は俺に任せて貰っていい?」
衣装、って言ったって最初にちょろっと着るだけで、後はほぼ素っ裸なんだけどね?
でも折角智樹と踊れるんだから、特別なステージにしたいんだ。
「ダメ……かなぁ?」
何とかこちらを振り向かせようと袖を引っ張る俺に、智樹はやっぱり面倒臭そうに、
「別に何でもいいよ……」
窓の外を向いたまま答えた。
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