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第3章 Collaboration 10
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劇場に着いた俺達は、楽屋に入ることなく、照明の消えたステージに立ち、スマホから手持ちの音楽データを引っ張り出して、それを智樹に聞かせた。
すると智樹は困ったように眉尻を思いっ切り下げて、
「この曲で? 俺が? お前と? 踊るって?」
ありえないとばかりに首を横に振った。
だろうね……
だっていつもの智樹からしたら、あまりにかけ離れたイメージの曲だもん。
でもさ、俺だって明確なプランがあるわけじゃないし、智樹に比べたら、ダンステクニックだって数段劣るし、それに容姿だって、完敗ってわけじゃないけど、智樹みたいな色気って言うか…妖艶さは、残念ながら俺は持ち合わせてない。
でもやると言ったからには、俺も引き下がるつもりは無い。
テクニックや見た目で劣るのなら、俺の土俵に智樹を乗せてしまえばいい。
「さ、時間ないから、早くリハしちゃお?」
俺は呆然とする智樹の腕を引き、センターステージの中央に立たせた。
「へぇー、こうして見るとお前ら双子みたいな?(笑)」
ステージ下で、副支配人の雅雅也さんが満面の笑みを浮かべて腕組みをする。
「で、どうすんの? 早くしないと他のダンサーのリハ時間がなくなっちゃうんだけど」
「分かってますってばぁ、もぉ。でね、智樹は……えっと……」
俺は雅也さんに見えないように舌を出すと、今度は智樹の方を向いて、
「こんな感じなんだけど、どうかな?」
その場で何となく立てたプロットを掻い摘んで話した。
「分かった。俺、そういうのやったことないから、ちゃんと出来るか分かんねぇけど、お前に合わせるわ」
そう言って智樹はステージから客席へと飛び降り、一番再後列のシートにドカッと腰を下ろすと、膝と腕を組んだ。
「じゃ、一度踊ってみせてよ」
「う、うん……」
妙な緊張感が漂う中、俺が用意した曲のイントロが流れ始めた。
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