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第4章 Asymmetrical 9
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ヤニ臭い支配人室のソファーに下ろされ、翔真がどこかに内線を入れる。
「悪ぃ、メイク落としと、あと智樹の着替え一式持って来てくれかねぇか……」
「は〜い、りょ〜かい♪」
答えたのは多分……いや、絶対に圭だ。
場末のゲイバーでダンサーをしているところを、たまたま客として行った翔真が見初め、引き抜いて来た、所謂ニューハーフの……しかも竿付きだ。
人当たりも良くて、客配あしらいも上手いから、何気に固定ファンも多かったりするんだけど、俺はあんまり好きじゃない、って言い方おかしいけど、翔真にベタベタし過ぎるのはどうかと思う。
って、これじゃ醜い女の嫉妬みたいだな……
「別にいいだろ、このままでも……。早くくれよ……」
もう待ちきれないんだ……
火照った身体の奥が疼いて仕方ねぇんだよ……
それは多分翔真も同じ。
ピッチリと着込んだスラックスの前の部分を、しっかりと主張したモノが山張っちまってんじゃねぇか。
「なあ、いいだろ?」
翔真が絶対に色仕掛けに乗らないことを知りながらも、自分の中に湧き上がった欲望をどうにかしたくて、片足をソファーの背凭れに引っ掛け強請る。
でもとことん堅物なコイツは、着ていたジャケットを脱ぐと、露になった俺の下半身に投げかけた。
「悪いが俺は商品の智樹を抱くつもりはねぇ。俺が抱きたいのは、あくまで素の“大田智樹”だけなんでね。抱いて欲しけりゃ、化粧落としてからにしろ」
そう言うと、ヤニ臭い支配人室の中でも唯一“らしく”見えるエグゼクティブチェアに腰を下ろし、タバコに火を付けた。
分かってるよ、俺だって……
でもだったら、なんで和人のデカチン咥えた俺を見て、おっ勃ててんだ?
意味わかんねぇ……
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