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第5章 Time 5
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メインの劇場入り口に施錠をし支配人室へと戻ると、案の定、智樹はソファーの上で丸くなっていて、その口からは気持ち良さそうな寝息が漏れている。
「智樹、帰るぞ?」
声をかけるけど、智樹からの返事はない。
それもそうか、体調が万全じゃないのに、ステージ上でも、散々和人の良いようにされ、その上……
ま、ソレに関しちゃ、俺にも責任の一端はあるんだが……
何にせよ、智樹の性格上口にこそ出さないが、相当堪えてるってことは、俺にだって分かる。
公私共に、ずっと智樹を見てきたんだから……
「やれやれ……」
俺は苦笑混じりの溜息を落とすと、狭いソファーで華奢な身体を丸くして眠る智樹を両手で抱き上げた。
そして、
「お疲れさん……」
額に唇を寄せ、まだほんのり熱いそこにキスを一つ落とした。
一向に起きる気配のない智樹を抱いてマンションに帰ると、朝まで智樹が起きることはないだろうと踏んだ俺は、途中のコンビニで買ったカップ麺に湯を注いだ。
料理の苦手な俺でも、それくらいのことは出来る。
ダイニングテーブルにPCを持ち込み、少々伸び気味の麺を啜りながら、劇場のホームページのコメント欄を開く。
客からのコメントが寄せられることも少なくはないから、そのチェックだけは怠ったことはない。
最早、俺のルーティンの一つと言ってもいいだろう。
「おっ、早速来てんじゃねぇか。どれどれ?」
普段よりも幾らか多いコメントが、今日のステージの反響の大きさを物語っていて、俺はその一つ一つに目を通して行った。
……って言っても、その殆どが「何回抜けた」だの、そう言った内容の物ばかりで……
ストリップ劇場を訪れる客の多くが、抜くこと目的だとは分かっちゃいるが、正直虚しさを感じなくはない。
特に智樹みたいに、プロのダンサーを目指してた奴なら、尚のことだろうなんだろうが、それも承知の上でこの世界に飛び込んで来たんだろうし……
って、引き摺り混んだのは、他でもない、俺自身なんだけど。
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