アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第5章 Time 8
-
「ぜっーてー無理っ!」
劇場駐車場に着いても、智樹は頑として車から降りようとはせず……
「なあ、そこをなんとか頼むわ、な?」
あー、情けねぇ……、なんで俺が智樹に頭下げなきゃなんねぇんだよ、ったく。
でも現状、ダンスが出来て、その上見てくれも程々に良くて、なんて奴……智樹以外には考えられない。
実際、智樹の身体をマジマジと見たことはなかったが、一見華奢なように見えて、案外引き締まった良い身体をしているのは、服の上からでも十分見て取れる。
「いくら翔真の頼みでも無理。裸になんのは別に構わねぇけど、踊んのだけは絶対無理」
最初っからすんなりいくとは思ってなかったが、まさかここまで頑固だとは……、ちょっと予想外だった。
「つか、今お前何て言った? 裸になるのは構わない、って言ったよな?」
「あ、ああ、確かに言った……かも……」
「だったらそれでも構わねぇ」
「は、はあ?」
勿論、俺が求めてるのは、ショーを目的としたストリップであって、ただ棒立ちで服さえ脱いでりゃ良いってもんでもない。
そこには、ダンスのスキルは勿論のこと、視線の配り方や、指先一つ一つの表現力だって必要になってくるのは当然のことだ。
でも今の状況で、それに拘ってる余裕なんて、俺にはない。
女性ストリッパーに対して男性ストリッパーの比率が数段に少ない以上、一人抜ければその代償はかなりのもんだ。
しかもそれが人気NO.1のダンサーともなれば尚のことだ。
背に腹はかえられねぇ…
「着いてこい」
「えっ、ちょっ……」
俺は助手席のシートで、シートベルトを握り締めたまま、テコでも動く素振りのない智樹を強引に車から引き摺り下ろすと、俺の手を振り解こうとする手をギュッと掴み、裏の通用口から劇場内へと入った。
楽屋のある二階へと続く階段は、通用口を抜けてすぐの所にあって、俺は薄暗い階段を、智樹を振り返ることなく駆け登った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
45 / 389