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第6章 Accident 2
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浴衣を買ってはみたものの、舞台衣装で着る以外は、自分で着つけなんてしたことのない俺達は、考えた挙句、売り場の店員に着付けを頼み込み、そこから祭り会場である神社に向かうことにした。
「なんかさ、変な感じじゃない?」
カラコロと下駄を鳴らし、少し前を歩く和人が俺を振り返る。
「何が?」
「だってさ、俺達浴衣はあんま無いけど、着物とかけっこう舞台で着てるじゃん?」
「まあ、な……」
確かに和人の言う通りで、曲のイメージにもよるが、衣装に和服を選ぶことも少なくはない。
実際、花魁の衣装なんてのは、客受けが抜群に良い。
俺にはとっちゃ、ただひたすら重たいだけで、あんなゴテゴテした着物のどこが良いのか、全く理解出来ねぇけど。
「でもさ、男物を着ることって滅多にないから、凄く新鮮じゃない?」
「言われてみれば新鮮かも……」
「でっしょー? 新鮮だよねー♪」
和人の、いつになくはしゃいだ声と、笑顔が弾ける。
でもさ、和人?
お前、無理してんじゃねぇか?
それはここ二、三日ずっと気になっていたことで、俺にはどうしても和人が無理に明るく振る舞っているようにしか見えなくて……
「なあ、和人、お前さ……」
その理由を尋ねようとしては、
「やっぱ何でもねぇ……」
繰り返し湧き上がってく不安を飲み込んだ。
言ってくれる、って思ってたから……
もし本当に辛くなったら……、ステージ上で笑えなくなったら、俺にだけは打ち明けてくれるって、そう信じてた。
だって俺達、お互い数少ない友達……だろ?
尤も、和人が俺のことを“友達”だと思ってくれてるかどうかは、俺は知らないけど。
でも少なくとも俺は和人を“友達”だ、って思ってる。
潤一を失くしてから、初めて出来た唯一の友達だ……、ってな。
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