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第6章 Accident 10
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頬に小さな痛みを感じて瞼を持ち上げると、霞んだ視界に映ったのは、泣き腫らした和人の顔で……
そっか、俺トイレで……
「もう……俺、智樹が死んじゃったんじゃないかと思って……、ビックリしたんだから……」
「バカ……、ンなことで死ぬかよ……」
こんな簡単に死ねるなら、俺は今頃もう潤一の傍に逝ってるさ……
「あ、そう言えば翔真に連絡……」
あれから随分時間も経ってるし、きっと翔真のことだから心配してる筈。
俺はテーブルの上に置かれたスマホに手を伸ばした。
でも、
「それなら大丈夫。俺が途中で具合悪くなって、智樹に送って貰ったことにしてあるから。だから安心して?」
「そっか、サンキューな……」
和人の機転に、俺は内心ホッと胸を撫で下ろした。
翔真のことは勿論だけど、これで和人とゆっくり話が出来る。
俺は重く軋む身体を起こし、和人の頭にポンと手を乗せると、ゆっくり話を切り出した。
「なあ、和人? アイツら一体何なんだ? お前に貸しがあるとか言ってたけど……」
記憶が朧気ではあるけど、確かに“デカい貸しがある”って……
「アイツらは……」
言いかけた途端に口篭る和人。
よっぽど深い事情があるんだろうか……
「なあ、俺にだけは話してくれねぇか? な?」
だって俺達、友達だろ?
俺が一方的に思ってるだけかも知んねぇけど……
でもな、ニノ……
仮にお前が俺を“友達”だ、って思ってなかったとしても、関わってしまった以上、俺にはアイツらが何故和人に付き纏っているのか……、和人が何から逃げて来たのか……その理由を知る権利が俺にはある筈だ。
そうだろ、和人?
例えそれが、
聞くんじゃなかった、って……
関わるんじゃなかった、って……
後悔する結果になろうともな。
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