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第7章 Fate 2
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「アイツらさ、その時の客でさ……」
そう、元々はただの客だった。
一夜限りの、通りすがりのような関係。
「でもさ、何度か会ううちにさ、あの中の一人が、俺と客との仲介みたいなこと始めて……。その時になって漸く気付いたんだ、アイツらがグルだった、って……」
俺は言われるままに身体を売り続けた。
そうしてれば、日々を過ごすだけの金は手に入ったし、何より“俺は一人ぼっちじゃないんだ”って思えた。
でもそれも最初のうちだけ……
「アイツらさ、仲介料だとかなんとか言って、売上の殆どをピンハネするようになってさ……」
結局俺の手元に残ったのは、一日食うに困らないだけの金と、その日の宿代だけ……って言っても、ネットカフェの、あの薄暗くて狭い空間が、専ら俺の常宿だったけど……
「……んだよ、それ。いくら仲介料だって言ったって、元はお前の……、お前が身体売って稼いだ金だろ? なのに……」
表情にこそ出さないけど、智樹が怒っていることは、俺の手を包んだ智樹の手に込められた力で分かる。
「そうだよ、俺が……俺がさ、好きでもない、それこそ見ず知らずの男達に身体を良いようにさせて、それで漸く手に入れた金だよ……。なのにアイツら……」
今更ながらに、自分の愚かさに悔し涙が溢れる。
後悔したって過去を消せる訳でもないのに…
「逃げようとは思わなかったのか?」
「逃げたかったよ……」
実際、何度も逃げようと思ったよ、もうこんな仕事も辞めて、真っ当な仕事に就こうって……
「でも出来なかったんだ……」
「何で……?」
「俺、アイツらがまだ客だった頃に、アイツら騙して金借りてたから……」
「幾らだよ……」
「一人二百万だとして、六百万かな……。多分、アイツらの言う“デカい貸し”ってのは、そのことだと思う」
とは言っても、売り上げからピンハネした金で、その半分以上は返せてる筈だけど……
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