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第7章 Fate 3
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「六百万か……」
そう言ったきり、智樹は口を噤んでしまった。
軽蔑……したよね、きっと……
当然だよね、六百万って言ったら、端金では済まない金額だもん、嫌われたって仕方ないよね。
「ごめんね、変な話聞かせちゃって。でも心配しないで? 俺、自分で何とかするから。もう智樹にこんな思いさせないようにするから……」
「何とか、って……、宛でもあんのかよ……」
宛なんてないし、解決策だってないっけど、でもこのまま逃げ回っていたって、結局何も解決なんてしない。
だったら俺が……
「なぁ、その金……俺が何とかするって言ったら、お前どうする?」
「な、何言ってんの? 駄目だよそんなの。絶対駄目!」
どんな理由があったにせよ、全ては自分の身から出た錆、無関係のこれ以上智樹に迷惑はかけられない。
「でもよ、和人……。その金さえ返せば、お前自由になれんだろ? だったら……」
そうなのかもしれない。
借りた金さえ返してしまえば、もしかしたら俺は自由になれるのかもしれない。
アイツらに鬱陶しく付き纏われることも、多分無くなると思うけど……
でも、でもっ……!
「やっぱり駄目だよ。智樹にそんな迷惑かけられない。それに大体そんな大金どうやって……」
いくら売れっ子のダンサーとは言え、所詮はストリッパーだし、そんな身入りのいい仕事でもない。
六百万なんて大金、智樹が持ってるなんて、到底思えなかった。
「全額は無理かもしんねぇけど、半分くらいなら何とかなるから」
「どうして……? どうして俺なんかのために……」
俺のためにあんな酷い目にあったのに、どうして……
「うーん……、だって俺ら“友達”だろ?」
「智樹……」
智樹のそのたった一言が、俺の頭の上に乗せられた智樹の手が、とっても暖かくて、嬉しくて……
知らず知らずのうちに流れ出した涙に、俺はしゃくり上げるように泣いた。
ごめんね、智樹……
ごめん……
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