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第14章 Separation 7
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劇場を後にした俺は、どこに立ち寄ることも無く、バスに飛び乗った。
ただ潤一に少しでも近付きたくて、ひたすら死に場所を求めていた、あの時と同じように……
一つ違うのは、あの時みたいに、死ぬためじゃない……ってことかな。
俺は生きるために、その為だけにあの場所に帰るんだ。
俺も随分強くなったもんだ。
それも全部翔真のおかげ……なんだよな?
遠ざかって行く、翔真との記憶が詰まった街を車窓に見ながら、思わず笑いが込み上げてきて、気付いたら俺はバスの一番後ろの席で、一人笑いを嚙み殺していた。
いつしか笑いが涙に変わるまで、ずっと……
どれくらいの時間バスに揺られていたんだろう、気付けば景色はどこ懐かしい……、見覚えのある風景へと変わっていた。
帰って来たんだ……
もう二度と帰ることはないと思っていた場所に、俺は帰って来たんだ……
そう言えば、父ちゃんや母ちゃんは元気にしてるだろうか……
病院を飛び出したきり、連絡も一切取らず、今まであまり思い出すこともなかった両親のことが、不意に脳裏を過ぎる。
心配してるかな、それとも怒ってるかな……
当然か、ある日突然息子が姿消したらさ、心配すんの当たり前だよな。
母ちゃん泣くかな……
父ちゃんは……、殴られたりすんのかな……
会いてぇな……、凄く会いたい。
ふとそんなことを思うけど、今の俺に感傷に浸ってる時間はない、先ずは潤一との約束を果たさねぇと……
俺は手に下げたボストンバッグを肩に担ぎ直すと、陽が傾き始めた街をとぼとぼと歩き、潤一が指定した場所へと向かった。
途中、俺達を引き裂いたあの事故の現場の横を通った時には、流石に息が詰まるのを感じた。
ハッキリと事故の事を記憶しているわけじゃないけど、行き交うトラックを見れば、薄ぼんやりとだけど、嫌でもその時の記憶が呼び起こされる。
事故にさえ遭わなければ、そしたら俺達は、また違った道を歩いていただろうに……
俺は次々浮かぶ過去の記憶を振り払うように頭をブンと振ると、一度はピタリと止まってしまった足を再び動かし始めた。
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