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16 過去
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葵はそれからずっと俺の傍にいるようになった
意識がめちゃくちゃだったから、もしかしたら傍にいない時もあったかもしれないし、本当は傍にいたのは一瞬だったかもしれない
けど、俺の記憶の中で葵はいつも傍にいた
にこにこわらって、ふわふわと話しかけてくる
話しかけられて、何かを返した気もするし、返していない気もする
それを認識するためにはかなりの時間がかかった
そしてある日、突然ハッとして話せるようになった俺は性格が別人みたいに変わっていた
ビビりで人見知りで人の顔色伺って、でも友達や親が大好きでずっと傍でくっついていたいと思ってた
そんな俺は、人に干渉しなくなったし、特に無くなったのは人を大好きだと信じきる心だった
「真慕くん、ちょっとお外出てみない?」
「気分じゃない」
昔の俺ならきっと、素直に怖いと言った
けど今の俺からその言葉は出ない
怖い=行きたくない。つまりは「気分じゃない」嘘は言っていない
けど、それをそうと言えないのは
「やめて」「痛い」「怖い」「助けて」「嫌だ」
俺の本気の心の声を、ビビりだったから頷いてばかりの俺が初めて吐き出すような本当の声を、全く聞いて貰えなかったどころか、ヒートアップしたことがトラウマになったから。
きっと、そうなんだと思う。
┈┈┈ 過去 終わり ┈┈┈
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