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「良くなってきたね」
「ん」
今日も寝て過ごす
寝て起きてご飯食べて薬を塗ってもらって、また寝て。
相変わらずなクズ生活を送っている
火傷をしてから1か月が経った
治りが悪く、あまり目に見えては治らないが、指とかはいつの間にか治っていたし痛みもほとんど無い
後は足くらいだ
「ねぇ真慕、明日外出てみない?」
「気分じゃない」
「とっても気持ちいいところだよ。あんまり人もいないだろうし、ね?」
「どこ?」
「気になる?でも内緒」
「そういうの嫌。
言ってくれなきゃ絶対行かない」
「ふふ、分かった。意地悪してごめんね」
そう言って包帯を巻き終えると、ポンと頭を撫でてケータイを見せてきた
「ここ」
「城?」
「そう。
森林公園になっててとても綺麗に整備されてるんだ。担当してる患者さんがおすすめって教えてくれてね、この前1人でちらって行ってきたんだけどこれは真慕と一緒に来るにはとってもいい場所だーって思ったの。
だからサンドイッチとか持っていこうよ、楽しそうじゃない?」
「ない」
「そこをなんとか」
「いつ」
リビングにかけられた0分になると小さな小人が踊って出てくる掛け時計。
前に2人で日用品を揃えに出掛けたことがあって、その時に何がいいって聞かれて何となく目についたそれを指させば葵は喜んで何度も頷いてそうしようそうしようってにこにこしながら買ってた
細かい装飾が沢山あって安くはないだろう時計。けど見やすいし、鳴る音が綺麗だから少しだけ気に入っていなくもない
ちなみに寝室のは雲の掛け時計。それも俺が選んだ
葵はその時計を見て、んー。と悩んだ後
「お昼頃がいいかなって」
といつもと変わらない穏やかな声で言う
「夜ならいいよ」
「夜、寒くない?」
「文句あんなら行かない」
「ないない!それじゃあ、暖かくして夜行こう
ライトアップもしてるみたいだから、夜も楽しいかもね」
「…ん。」
葵っていつもこうだよな。
本当は昼に行きたかった癖に。
昔も、きっと親に言われて俺の話し相手になったんだろう
誰ともまともに話せなかったから。
病院の息子だからって無理矢理。
きっとそうだ。
うん。そうに決まってる
優しい人だから頼まれたら断れないんだろう
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