アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
20
-
「どんなお仕事に興味あるの?」
葵は働いていない俺を一言も責めない。でも、働くと言い出す俺のことも、一言だって出来ないとか甘く見てるとか、貶したりはしない
こういう人だから、そばに居たいと思えるのは事実
葵のとなりは他よりも少しだけ、安心する
「…バカにするから言わない」
「する訳ないよ。秘密なの?」
そんなの分かってる
葵が俺をバカにしないことくらい。
でも、そんな葵でさえこうして前置きをたくさん作らないと思ってることを口に出すのは怖い
「……むかし、の話だけど
コロネで働きたかった」
「コロネって真慕の実家の近くのパン屋さん?」
「…昔の話だから。」
「いいじゃん、あそことっても素敵だと思う」
あの事件より前のことを話すのは初めてかもしれない
葵は嬉しそうにサンドイッチを頬張った
あそこの店こと「コロネ」は自営業でやってるパン屋
オシャレな外装とアンティークな内装
そしてとても美味しいパンに、優しいオーナー。
昔はずっとそこで働きたいと思っていた
小学生の頃からの夢だ
昔。それこそ小学校低学年の頃「ここでね、パンつくりたい」ってオーナーさんに手紙を書いてを足したら嬉しそうに「待ってるね」と言ってくれた
忘れていたな、あの人のこと。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
20 / 375