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葵に教えてもらったBARに行くとカウンターに絢の姿を見つけた
そしてその瞬間、ホッとした俺がいた
「絢。」
上着を脱いで隣の椅子に座る
「…え、なんで来てんの」
「知り合い?珍しいじゃない
あら、しかもイケメン。さては彼氏?」
店員はそういタイプか。
嫌味なねちっこさはなく話しやすそうな雰囲気が漂っている
店員の言葉からしても絢がここの常連というのは間違いなさそうだ
「彼氏じゃない。どう見たらそうなんの」
「え?だってこの前別れたって言ってたじゃない。
ゆなちゃん恋人切らさないで有名だし、次の相手なのかしら〜って」
湯奈川 絢と先程自己紹介していたのを思い出す
こういう場所では苗字側を教えているのだろうか
「もう別の人いる」
「えっ、そうなの?誰よ?」
「どうでもいいじゃん」
「気になるじゃないっ」
「てか帰る。」
「え?もう?来たばかりなのに?」
「俺本気でこいつの事嫌いなんだよね」
「えー…?いい人そうよ?」
お金を置いて本当に帰るのか席を立ったのを見て慌てて声をかけた
「どこ行くんだよ」
咄嗟に出た声は割と低く響いた
「…はぁ。関係ないじゃん
そもそもお前真慕の話聞きに来たんじゃないの?俺に着いてきたのはなんで?迷惑ですけど」
「お前のことが気になる。それだけ。」
「……訳分かんな。」
小さな声で言ったようだけど地獄耳の俺には普通に聞き取れた
「着いてきて何がしたいんですか?用件は。」
「用件って。別にない
むしろ何も無く家に帰って欲しいだけ」
話しながらいつの間にか店の外に出ていた
ひんやりとした風が吹き抜けていく
街のオレンジやピンク、水色の光は絢の綺麗な紫色の髪と相性がいい
「……なまえ、なんだっけ。」
「え?」
「名前。」
「菅野ゆきひろ。菅に野原の野。ゆきひろは平仮名」
「菅野…ねぇ、そういうこと言うなら今日泊めてくんない?」
「は、今日?」
「嫌?こんだけ付きまとっておいて宿のつもりじゃなかったんだ」
「一人暮らしなの?」
「そうだよ」
「別にいいけど…ここから距離あるよ?明日朝早くない?」
突然いい人ぶるスイッチ入るね、とバカにしたように笑う
確かに自分でも素が出てしまっている自覚はあって絢のいう「良い人ぶっている」という仕事上の対応が不意に出ている自覚もあった
「早くない。お前夜早い?」
「いや、そんな事ないけど」
決めたならさっさと帰るぞ、もう遅い。絢の背中を押して道路の方に出るとタクシーを捕まえた
「□×駅まで」
タクシーが走り出すと絢はまた直ぐスマホを弄る
誰かの家に行くのは慣れているように見えた
恋人を切らさないとさっきも言われていたし1人だと寂しいのだろうか
俺も外に視線を投げ、車内で別に会話はなかった
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