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「あの後あの人の家に泊まったってほんと?」
葵が家を出てから5分。
気になっていたのか、ぽつ。と聞かれた
「嘘じゃない。
まじでうぜーって思ったんだけど俺も宿なかったし、別にいいやって」
お互い向かい合うこともしなければ、ちゃんと話を聞こうという体制でもない
テレビを見て、スマホを弄って。
「ふ、突然雑な判断。何も無かった?」
「いや最悪。聞いてよ真慕」
「聞きたいから話振った」
「あのさ、いつも通り電気消して食事してたら突然電気つけられて顔見られたの。
まぁ謝ってくれたし許したけどそーいう行動する時点でだいぶ無理。」
「へー…そういう事するんだ」
「あいつ絶対腹黒。真っ黒。」
「絢に言われるって相当」
真慕は可笑しそうにクスと笑った
「でも葵はあいつのこといい人だって。騙されてんのかな」
先程葵は言っていた。
心配性とか、優しいとか。
「あいつバカだしお人好しだから皆いい人に見えてる説ある」
「旦那さんにそんなこと言わないの」
「ふ、旦那さんて」
「結婚1年経ったんでしょ?おめでとうじゃん
子供できた?」
「できる訳ないでしょ?
まぁ、まさか自分が男と結婚すると思わなかったけどさ。しかも葵。」
「女の人と結婚したかった?」
「別にそういうのがある訳じゃないけど。
でも俺出会いとは無縁の生活してるから葵がそういう事言わなければ、死ぬまで独身だったよきっと」
「俺は死ぬまで独身かも」
「結婚したいの?」
「どっちかって言うとしたくないかな。
1人に依存するのって怖い気がする」
「狂ってるってこと?」
「んー、いや。そうじゃなくて、その1人に俺の全部かけてたら、捨てられた時立ち直れないだろうなって」
「そういうことね」
不思議と、真慕といる時は自分の考えを普通に言える
昔から自分の思っていることとか考え方、やりたい事や、やりたくない事、嬉しいことや嫌なことまで、あまり口にするのは得意ではなかった
小さな『何食べたい』の問いも、
引き取られて家で上手く立ち回れなかった時
施設の人が俺によく言った『何かあった?』の問いも、
夜に『ヤらせて』と言われた時に嫌だった時も、
俺は首を傾げたり頷くだけで何かを言うのは出来なかった
飲んでいて、話が弾んでいても俺はいつも聞き役。
俺がこう思っている、なんて誰にも言うことがなかった
けれど真慕といると不思議とペラペラ、どうでもいいことから少し深いところまで、何でも口にできてしまうから不思議だ
それは真慕の聞き方が上手だから。きっと、そういう事なんだろう
真慕は無意識かもしれないけど、会うといつも俺は何か話したくなる
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