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「ゆきのケータイ?」
『あぁ。絢か?』
「そう。話したいことって何?」
外にいるのか、時折風の音が聞こえる
『今日の朝に言おうと思って言えなかった事なんだけど』
「何?」
『今日もうちに泊まらないか?』
「それ朝も言ってたよ。断ったけど」
『もう一押ししたい』
「一押しじゃ足りない」
『ふ、何それ。なん押しなら足りるの?』
「てか何で。」
『理由は電話じゃ言いたくない
今日は葵の所にいるんだろ?』
「…そうだけど。」
『とりあえず、会いたい。迎えに行ってもいいか?』
「…」
なんで。
俺はあまり会いたくない。
1回家に泊まったらその人の家に行くのは少なくても3日後。それは俺の中での勝手な決まりみたいなもの
しかも突然電気つけたりで、無理矢理顔見てくるし…
『嫌?』
「…別に。」
相手に頼まれてしまっては、あまり断るのも。
結局は葵たちにだって泊まるという時点で迷惑かけている訳だし、そこに対して「今日はここにいたい」みたいなのって、どんだけズレたわがままだよ。って感じだし
『じゃあ今から行っていい?葵には俺から連絡する』
「…勝手にしたら。」
俺のジャンクフードパーティはどうなるんだろう
無くなるのかな?
食べる前にゆきが来て終わりかな
なんか勝手に少し楽しみにしていたけど、それだって葵が買ってきてくれているものだし俺が残念がるのも違うよな
そこに俺関係ないし。
てか、ゆきが俺に電話じゃ言えない言いたいことって何だろう。
あ。ゆきが来るんだったらここで待たせてもらうんじゃなくて外で待ってた方がいいのか?
どうせ泊まらないなら早く2人だけの時間にした方がいい
あれこれと考えていると部屋の扉が開いた
「今先輩からメールきたよ
何時頃だったらいい?って着てるけど、どうする?」
「葵的にいい時間で。今すぐでもいいし」
「絢ちゃんは俺とした約束、覚えてる?
考えてること言葉にする練習しようって前に話したじゃん」
「…覚えてたんだ」
「忘れないよー。大切な約束だもん。それに今はまさに、って時だしね。
絢ちゃんの考えてること、教えて?」
葵は俺の事を分かろうとする
結果的にどうしたいかじゃなくて、どういう考え方をしているのかを聞きたがる
逆に言えば、結果的な決定権を握らせることはあまり重要視していないように思える
頭の中で短く言葉をまとめて、口を開いた
「…ゆきが迎えに行くって電話してきたってことは早くゆきの家に行った方がいいと思った。きっとゆきもそうして欲しいのかなって
でも、俺はピザ食べたい…
けど、なんか違うなぁって」
「違うっていうのは?」
「……な、何にしたって全部迷惑な気がしてきた」
聞いてくれようとする葵に、自分がどうしていいのか分からなくなって泣けてきた
「んー?大丈夫大丈夫
あんまり自分のこと追い詰めないの。
誰にも迷惑かけてないよ、絢ちゃんは悪いこと何もしてないからね
…んー、それじゃあ、俺が提案してみていい?」
背中を擦りながら聞かれて頷く
「俺、絢ちゃん来てくれるの久しぶりだって張り切ってピザとかポテト、ハンバーガーにナゲット、コーラ、その他諸々いっぱい買ってきちゃったんだよね
先輩も呼んで、みんなで食べるのはどうかな?
お風呂も入っていっていいし、全部落ち着いたら先輩のお家に行くっていうのはどう?」
「…大丈夫なの」
「ふふ、優しいね絢ちゃんは。
全然大丈夫、ゆっくりしていって」
その後髪を撫でられ「落ち着いたらおいで。先輩には連絡しておくね」と部屋を出てくれた
涙を引っ込めて、落ち着いてから、寝癖を手櫛で直す
リビングから「4等分にするの上手すぎる。さすが真慕。大好き」なんておかしな声が聞こえてきて思わず笑ってしまう
扉に手をかけて開ければ真慕は一言「遅い。早く食べよ」と隣の席をポンポンと叩いた
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