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59 side真慕
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side真慕
「ゆきさんって、本当にいい人なの?」
絢と一緒に缶チューハイを飲んでいた真慕の頬はほんのりと赤い
隣に座ると無意識に俺の服の裾を小さく掴んできた
「ん?気になる?」
「なんか、絢と一緒にいる未来が見えた
本当にいい人ならいいけど、絢は恋人に殴られても、しょうがないよね。とか言う人だから…だからね、ゆきさんがこれから絢と一緒にいる人なら、…それなら、いい人じゃないと嫌」
この子は本当に…
「大丈夫だよ
先輩は本当にいい人。少なくても、人に手を上げるような事はしない」
「絢が幸せになればいいのに」
酔うといつも、取り巻く雰囲気が柔らかくなって、それはもう、一言で言うならとても可愛くなる
「なれるよ、絶対。だっていい子だもん」
「なら良かった」
へにゃ、と笑った顔は優しくて儚い
「ねぇ真慕、キスしていい?」
「…へ」
「ちゅ、ていうだけのやつ。一瞬だけ触れさせて」
少しの間があって、やっぱり怖いかなと髪を撫でて「やっぱり大丈夫だよ。ごめんね」と言おうと思って口を開く直前
「───…いいよ。」
先に真慕がそう返事をした
「っ、ほんとに?」
「一瞬だけのでしょ?葵ならいいよ」
それは有り得ない返事だった
真慕はそういう事を連想させる行為を極端に嫌がったし怯えた
今は安心しているのか体の力が抜けているし表情も柔らかい
「ありがとう、大好き。」
ぎゅぅ、と抱きしめた後に触れるだけのキスをした
初めて、真慕のそういうところに触れた
近づくと何だか甘い匂いがして、それから触れた唇は小さくて柔らかかった
可愛い。
本当に可愛い。
唇を離して、もう一度抱き締めれば「くっつきすぎ」なんて言われてしまった
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