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60 side絢
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side絢
「ただいまー…」
靴を脱ぎながら暗いリビングに向けてそんなことを言っている。もちろん返事なんてない。
「それ誰に言ってるの?」
誰もいないってわかってるのに。
「何が?」
廊下の電気をつけながら不思議そうに逆に問われる
「そのただいまってやつ」
目が悪くて靴系は立ったまま脱ぎ履きができない
玄関に座って安定してから脱がないと、ふらふらして最悪転ぶ
靴紐を解きながらそう返せば、とっくに靴を脱いだゆきは隣にしゃがんで
「え、俺なんか言ってた?」
なんて言ってくる
「うわボケてんじゃん。三十路ジジイ」
「まだ若いだろ」
靴を脱ぎ終えるとさり気なく手を出されて立つのを手伝われる
なんかこいつそういうところが病院っぽいっていうかなんていうか…
リビングについて荷物を床に投げてソファに無断で座れば突然距離を詰めて隣に座ってきた
またマスクを取られるのかとギクリとしたが、そういうことでは無かったようで。
「今日はそもそも、話したいことあるって言ったよな」
「あー…だっけ?
なんか言ってたな。そういえば」
確かに元を辿れば話したいことがあるからまた泊まって欲しいという話だった
「単刀直入に言う。
お前のこと好きになった
恋人になって欲しい。」
「…は」
「マジだよ。冗談なんかじゃない」
まじかよ。
え、てか何で。いつ。
セックスをした後に告白されることはよくあった
それから酔って記憶がなくなった日の翌日とか。
けどゆきとはセックスもしていなければ、酔ってなにかを口走ったことも無い
俺を好きになるようなタイミングなんて存在しただろうか
「今恋人いるの?」
そりゃまぁ、いるけど。
ゆきは恋人になるということにそれなりの理想というか目標とする形があるのだろう
だから恋人がいるのか、なんて聞いてくる。それはきっと
恋人がいる=誰とも遊んで欲しくない
二股はして欲しくない
そういう理想があるから、相手に恋人がいるのかが気になる
まぁ、俺はもうその辺の境はとっくの昔にめちゃくちゃで4股とか余裕でしてたこともある
今年で2年だね、なんて暫く会ってもいない人から送られてきて「え、付き合ってたんだ俺ら」みたいなこともざらにある
「いる。」
今俺が付き合っていると認識しているのは1人。
玩具プレイが好きでやたら色んなものを突っ込んでくる男だ
別に好きな訳じゃない
けど、告白されたから付き合っている
「その人とはどれくらい付き合ってるの?」
どれくらい?
どれくらいだろう
確かあの時は薄着だったような。だとすると1ヶ月くらい?いやもっとか?
「んー…忘れた。長くはない」
「俺に乗り換えてくれたりとか、ない?」
「…乗り換えるっていうか。別にいいよ俺このまま付き合っても」
「二股ってこと?」
「まぁそうなるのかな
けど、あいつもお前も少しすればきっと離れてく。
それは別にいい
ただ、そういう事ならこっちだって少しは自由にさせて欲しい」
「違うんだけど。
絢の思ってる付き合うと、俺の言ってる付き合うは違う
本気で好きになって欲しい、の告白なんだけど」
…めんどくさ。
それは俺が嫌いな恋愛の仕方だ
「…あー、うん。じゃあ無理かな」
「無理じゃない」
「ふっ、無理じゃないって。子供みたいに駄々こねないで下さい」
「どうしたら俺だけにしてくれんの?」
付き合うだけならできる
ただゆきの思っているそれは俺の思う「ただ付き合う」「ただヤる」とはだいぶ違うようで。
「どうしたって無理です
誰か一人を本気で思うとか柄じゃない」
「じゃあせめて今の人と別れてよ
絢は相手のこと好きじゃないんでしょ?それは相手も?」
「まぁ、セフレの延長みたいな付き合いなんで本気ではないでしょうね
体良く俺がいたって感じでしょ」
「じゃあお願い。別れて。」
そんな真剣に頼まれても。
俺とゆきは別にそこまでの仲じゃない
これが真慕に頼まれてとかだったら普通に一瞬で別れるけど。
けどゆきとはそこまで仲がいい訳でもないし言いなりになってやるのも癪だった
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