アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
71
-
「お前がビビってどうすんだよ」
車に戻ってクク、と笑うゆきの姿に一瞬ムッとしたけど俺の事を思って発言してくれたのも分かって少し考える
ゆきは俺の為に怒ってくれた
そしたらそれは俺のためで…
だったらその分は、ちゃんと伝えるのが筋なのかな
あまり、自分のことを言うのは好きじゃないけど、ゆきが俺にしてくれたんだからその部分だけでもちゃんと言わないと。
意を決すると震える空気を吸い込んで小さく自分の手元を見ながら声を出した
「……おれ、苦手なの…
だ、誰にも言うなよっ」
「言わねぇよ」
ゆきは聞いてくれようとしているようで、目を見られる
気まずくなってすぐに逸らした
「その、おれ…施設で育ったんだけど何度か引き取ってくれた人がいて、その中に…叩いてきたり怒鳴ってきたりする奴がいて
……んー、多分、その。
…結構こわくて……だから、ピリッとした空気でも嫌っていうか…せっかく、言ってくれたのに…ごめん」
言い終わって俯く
やっぱり慣れない
こうやって改めて自分のこと話すとか。
「そーいうこと?だったら謝るのは俺。
怖い思いさせたな、悪かった」
謝られて一気に罪悪感が湧く
ゆきに謝らせるくらいならやはり言わない方がよかっただろうか
だって悪いのは俺なのに。
「ゆきは悪くないっ」
気づいたら結構な勢いでそう言っていた
「なーに?今日はやけに健気でかわいーね」
にや、と腹黒そうな笑顔を向けられる
可愛い、なんて俺は真面目に話したのに!
「ば、ばか!ゆきだ、悪いのはやっぱ全部ゆき!」
「はいはい。ごめんね絢ちゃん」
「こっの…!」
ぺし、と叩いてみたけどゆきは眉を下げて笑うばかりだった
あぁ、そうか。
こいつ、小さい頃からめちゃくちゃに触られてたのか。
ほんと、俺じゃ理解できない程怖い思いを沢山してきたんだろう
前に見たリスカの痕を思い出して奥歯を噛んだ
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
71 / 375